アンサンブル青葉

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第144〜165回
目次

暑中お見舞い申し上げます

粒を揃える

献 立

シンコペーション

残暑お見舞い申上げます

恩師を偲んで

もしもピアノが…

暑さ寒さも

合奏のお約束

足台

フォーユーアンサンブルに出演しました

パストラル・ファンタジー

パストラル・ファンタジー
(その2〜その4)

青葉区民音楽祭

編曲あれこれ

「七色の声」を持つ

BとH

教則本

メンテナンス(1・2)

 

 

第144回 暑中お見舞い申し上げます                     平成25年8月3日

 

このところの猛暑も、今日明日は一息継げそうなお天気です。

 

買い物へ出たついでに隣町の本屋へ行こうとして、定期券を持っていないことに気付きました。いちいち家まで取りに戻るのも面倒だな、と思ったのですが、何のことはない切符を買えばいいだけの話ではないですか。

 

ご多分に漏れず定期はICカード付き。最近切符を買うなんてことはまずありません。

買うとしたら、JRの長距離路線位でしょうか。また、飛行機に乗るのも「スキップサービス」といってチケットレスが大流行りです。旅慣れた人はともかく、筆者などは未だにそれで本当に大丈夫かと不安に駆られることもしばしばです。

 

さて、隣の駅までの120円切符。ふと、この区間は、小学生の時初めて電車に一人で乗った時の区間だと思い当りました。当時の子供運賃は10円か20円だったのではないでしょうか。

たった一駅間、2分の行程であっても小学生には大冒険です。通行手形ともいうべき切符を握りしめて電車を待った、その気分を懐かしく思い出しました。

 

 

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第145回 粒を揃える                           平成25年8月11日

 

「優れたピアニストの音は、一音一音が分離している。ピアノ・コンチェルトで、ピアノの音がオーケストラの壁を抜けて響くのは、演奏された一音一音が真珠の粒のように等間隔で並んでいる時だ」

小澤征爾が浅利慶太(劇団四季代表)に語ったこのことが、「母音法」といわれる、どんなセリフも明瞭に発音できるようになる発声法を生み出すきっかけとなりました。

 

四季は発足後最初のステージで「セリフがよく聞き取れなかった」との感想がよせられ、台詞術が大課題となりました。当初は「活舌をよくする」ことが解決策と思われていたのですが、思うように効果があがらず他の方法を模索していたのでした。

 

「小澤の話は、舞台における役者のセリフにも言えることだ…」こう確信した浅利慶太は、この「母音法」という発声法を編み出しました。

その後の四季の発展はご存じのとおり、今や年間ステージ3000回以上、俳優・スタッフ1200人、年間観客動員300万人という、本邦最大の演劇集団になったのです。

 

ところで、私たちが一音一音粒をそろえるためにはどんな事が必要なのでしょうか。

まずは右手、ダウンアップの均等。そして左手の弦の押さえ、運指。思いつくのは基礎練習のことばかりです。

四季では全ての俳優さんが毎日「母音法」のトレーニングをしてから稽古・本番に臨むとか。う〜ん、これは頑張らねば。

 

 

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第146回 献 立                           平成25年8月18日

 

残暑が続きます。皆さん、熱中症には十分ご注意ください。

暑さを忘れるには、冷たいものが一番…。こんな献立は如何でしょう。

 

<前菜> 氷膳

<椀> スッポンの煮凍りをゼリーにして生姜汁かけ

<造り> 活きのよい魚を冷たくして

<焼き物> 鮎の塩焼き

<お口直し> シャーベット

<煮物> カットグラスに冷たく冷やした煮物数点

<冷麦> ご飯の代わりに

<果物> 季節の果物

<デザート> 冷し汁粉

 

おいしそうでしょう?

 

しかしこの献立、料理人はお客様から大目玉を頂戴します。

料理人はつきじ田村三代目、田村隆氏。お客様は中国料理の臼田素娥先生。以下、田村氏の著書「隠し包丁」(白水Uブックス)より引用させていただきます。

 

「あんたねえ、こんな冷房の利いた部屋でこんな冷たいもんばっかり食べさせられたら、こっちのお腹、おかしくなっちゃうよ。いくら夏は暑いからって外も中も冷たいのはダメよ。献立には流れがあるの。それをもっと考えなくちゃ。(中略)料理はただ出せばいいんじゃなくて、食べる人が次に何を食べたいのかを感じ、考えなくっちゃ。(中略)熱いのばっかりじゃダメだし、冷たいもんが続いてもダメ。それに、力を入れ過ぎた料理が続くと、食べてるほう、疲れちゃうよ。中にはホッとする料理がないとダメ」

 

この叱責に、田村氏は

「ありがたかった。本当にありがたかった。あの時あの場面がなければ、今の私はないくらいありがたかった。(中略)主役ばかりではダメ、脇役がいてこその舞台であり、前後の流れを考えた台本でなくてはダメなのである。メリハリがあって、それでいて、どこか一品に印象的な光がなければいけないと気付かされた」と書いています。

 

以来、

「献立の流れが変わった。今まで、季節、行事、旬の素材ということばかりに献立のポイントを置いていた自分がいなくなり、流れを演出する別の自分が現れたように思えた。最高の素材と季節感をお客様のお腹の配分を考えてお出しし、作り手と食べ手の上手な駆け引きができて、やっとこちらの意図するところを伝えられるのである。これが演出であり、自分を一番アピールできるところである」。

 

いま暑い最中、秋の演奏会に向けて練習に熱が入っていることと思います。

私たちにとっては演奏会こそが発表の場、自己アピールの場です。

そこに載せるプログラムは、いわば私たちの献立。聞いてくださるお客様に、この秋はどんな献立でご満足いただきましょうか?この献立で、本当にご満足いただけるかどうか、考えるのはとても楽しいことだと思います。

 

「隠し包丁」 田村 隆著 白水Uブックス ISBN 4−560−07377−5

 

 

 

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第147回 シンコペーション              平成25年8月24日

 

賛助出演する楽譜に取り組んでいます。

青葉ではあまりやらない現代邦人の曲などがあり、こうした曲は変拍子あり、♯♭4つ以上の調性あり、シンコペーションの多用ありと、たいへん刺激になります。

 

しかし、いいことばかりではありません。実は、筆者はシンコペーションが少々苦手です。

ある程度知っている曲ならば勢いというかノリで音を入れることもできますが、それだけでは面白くありません。

しかも賛助出演となれば、苦手とばかり言ってはいられませんから練習です。

 

こうした時のお供はまずメトロノーム。Tempoは指定の倍くらいの、思い切りSlowにセットします。場合によっては4分の所を8分2つでとるようにします。

うん、これだけゆっくりやれば、どうにかリズムは拾えます。

 

あとはこれを徐々にim tempoに戻してやるだけなのですが…。

果たして間に合うのか? 気は焦るばかりです。

 

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第148回 残暑お見舞い申し上げます                     平成25年9月1日

 

さあ、9月!

まだ残暑は厳しいですが、これから演奏会に向け練習に熱が入っていくことでしょう。暑い中の練習は大変ですが、くれぐれも熱中症にはご注意の上頑張ってください。

 

さて、そろそろ譜面を貼ってしまいましょう。

演奏会用に配られた譜面。1枚ものならまだしも、何ページもあるものがあります。そのままでは取扱いに不便ですので、もう演奏会の曲順に貼ってしまい、1冊の本にしてしまいましょう。

 

このとき、譜めくりのタイミングをとることをお忘れなく…。

譜めくりの前後にフェルマータや大休止、あるいは何小節かの休みがあるときはいいですが、生憎延々と音が続くときがあります。

 

また、曲によってはD.C.D.S.TO CODA等でとんでもなく飛ぶこともあって、見失う危険を常にはらんでいます。

そこで譜めくりの前後1段、場合によっては全ページをコピーして貼り付け、少しでも負担が少ない演奏会用譜面を作り、本番に備えましょう。

もちろん、全曲暗譜できればそれに越したことはありませんが…

 

こうしてできた演奏会用の譜面に、その演奏会のチラシなどを貼りつければ、きっとよい記念になることでしょう。

 

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第149回 恩師を偲んで                            平成25年9月8日

 

昨日開かれた日比野マンドリンアンサンブル第46回定期演奏会は、今年1月22日逝去された日比野俊道先生を偲んでの追悼演奏会となりました。

 

日比野俊道先生。日本マンドリン連盟常任理事、マンドリンを比留間絹子氏に師事、1950年日比野マンドリン研究所・日比野マンドリンアンサンブル主宰。

以後マンドリン・ギターの個人指導、マンドリンサークルの指導、マンドリン音楽の作・編曲を通して本邦のマンドリン音楽の可能性の追求・普及に努められました。

皆さんも一度は日比野先生の作・編曲作品を手掛けたことがあるのではないでしょうか。

 

日比野先生が個人教授した弟子は700名を数えますが、実はアンサンブル青葉の指揮者もその一人であります。

今は独立しマンドリン教室を主宰していますが、指揮者にとっては亡き師匠の追悼演奏会です。また、そのご縁でアンサンブル青葉では日比野先生の作・編曲作品を多数演奏させていただいております。

 

今回指揮者は舞台で、またメンバーは客席から参加させていただくことができました。日比野マンドリンアンサンブルの皆さん、ご来場下さった皆さん、ありがとうございました。

 

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第150回 もしもピアノが…                         平成25年9月14日

 

先日、フェイスブックで「子供が使っていたピアノの本を見つけて、またチャレンジを始めました」という若いお母さんのコメントを見つけ、思わず「いいね!」してしまいました。

ピアノというのは、小学校の音楽室から始まって講堂、ロビーなどで、いちばん身近に見慣れている楽器なのかもしれません。フル・オーケストラより広い音域を持ち、たった一人でメロディと伴奏を演奏できるピアノに憧れなかった方はいないでしょう。

 

さて、「もしもピアノが弾けたなら、どんな曲を弾きたいですか?」というアンケートが朝日新聞のBeに掲載されていました。

古今のいろいろな曲がありますが、ダントツの一位は!

「エリーゼのために(ベートーヴェン)」です。

以下、「別れの曲(ショパン)」「月光ソナタ(ベートーヴェン)」「トルコ行進曲(モーツアルト)」「ノクターン第2番(ショパン)」とクラッシックの名曲が続きます。

 

意外やポヒュラー曲は、第7位に「明日に架ける橋(ポール・サイモン)」第15位に「レット・イット・ビー(ビートルズ)」が入るという、低めのランキング。ちなみに「もしもピアノが弾けたなら(坂田晃一)」は第21位でした。

冒頭のお母さんは、どんな曲がお好きなのでしょうか。ぜひ憧れの曲を弾いてみてもらいたいと思いました。

 

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第151回 暑さ寒さも                            平成25年9月21日

 

今年の異常な暑さも、何とか過ぎ去っていったようです。秋のお彼岸に入りました。

昼と夜の長さが同じになるこの日この時期、お日様は真東から昇って真西に沈みます。このことから彼岸(悟りの世界…西にある)と此岸(迷いや煩悩に満ちた現世…東にある)がもっとも通じやすくなると考えられ、ご先祖様の供養をするようになりました。

 

ちなみにこの彼岸・此岸を現しているとされるのが、当尾にある九体寺(浄瑠璃寺)です。池を挟んで真東に三重塔が、真西に本堂が向かい合って建立されており、三重塔には現世の苦しみを取り除く薬師如来が、本堂には西方極楽浄土の教主、阿弥陀如来が安置されています。

 

仕事に学校に練習に、日常忙しく動いている私たちも、この時期ばかりはおはぎでも作って、日頃ご無沙汰しているご先祖様にお参りして、ゆっくりと過ごしてみたいものですね。

 

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第152回 合奏のお約束                          平成25年9月28日

 

先日、あるギターアンサンブルの練習を見学しました。

普段は個人で、あるいはいろいろな団体で弾いている皆さんが集まったアンサンブル。手練れの方たちばかりですが、もうひとつ上の仕上がりを求め、プロの先生をお招きしての練習となったのでした。

 

先生は、にこやかに、時には冗談を交えながら的確にアドバイスしていきました。ちょっとご披露します。

 

例えばギターの演奏について

「高い音を弾く時は、サウンドホールの外側で弾く(サウンドホールの上で弾くと、音がぼやけやすい)。」

「6弦は4弦より重い。低音弦を弾く時はしっかりと弾く」

「歌を楽器で合奏する時は、メロディよりリズムを重視したほうがいい」

2番目の件など、楽器を見ればわかる当たり前のことなのですが、誰も意識してないのでは?私たちは、つい低音弦を高音弦と同じように弾こうとして躓いてはいないでしょうか。

 

さて合奏(アンサンブル)については、どんなアドバイスがあったでしょう?

 

1.曲想は始めからつける。(音を拾い、弾けるようになってから徐々につける…のではなく)

2.合奏には(演奏者全員の)曲想の合意を得る。

3.曲想には理由がある。(ただ譜面にfpが書いてあるから…ではなく)それを意識して弾く。

4.決まったことは譜面に書き込む(人間はすぐ忘れるから)。

 

いかがでしょう?

ギターを弾く方はもちろん、マンドリンを弾く方も大いに参考に出来るのではないかと思います。

 

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第153回 足台                             平成25年10月5日

 

足台が傷んでギイギイ鳴るようになりました。

練習ならともかく本番には使えませんので、買い換えることに…。

 

ところで、今当たり前のように使っている足台ですが、ギターの方はともかく、マンドリン系で足台を使うようになったのは近年になってのことと思います。

学生時代の写真を見ますと、マンドリン・マンドラは足を組んで楽器を構えています。時代を感じますね〜。でも足を組んだ姿も優雅でいいですね。

 

一方セロは、足台なしの大股開きでデン!と構えています。

当時のセロはフラットの楽器が多く、奏者も殆ど男性だったこともあってそのように構えていたのでしょう。

セロは徐々にラウンドの楽器が増えていきました。当時の楽器は、ラウンド部が大きくまた滑り易く、楽器を安定して構えるには苦労があったようです。

滑り止めや足台を使うようになり、また楽器自体も形状の改良があって、より安定して楽器を構えられるようになったのは、喜ばしいことですね。

 

さて新調した足台は、木製です。これを持って勇んで練習に行ったところ、なんと木の床では足台が滑ることが分かりました。

本番中それが原因で転んだりしたら大事です。滑り止めをつけなくてはなりません。トホホ…。

 

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第154回 パストラル・ファンタジー                   平成25年10月12日

 

藤掛廣幸先生の1975年の作品です。

 

筆者はこの題を「田園幻想曲」と勝手に和訳し、その曲想を、石森章太郎の初期の名作、「JUN」からの影響を受けつつ次のように解釈していました。

 

一面の草原と、そこを吹きわたる風を感じました。風を受けてたゆとう草の波。

誘われるように草原に踏み込むと、あちこちから私たちを誘う影たちの気配が。

それは懐かしい思い出のようであり、憧れのもののようでもあり、近づくと遠ざかり、遠ざかってはまた私たちを誘う。

それはあやかし?それとも希望?ゆめ?うつつ?

影たちは互いに呼び交わしながら草原のさらに奥へ、奥へ。そして壮大なcodaへ…。

 

…なにやら興奮気味ですみません。

実は今回ご縁があって、藤掛先生の指揮でこの曲を演奏する機会を得たのです。演奏するのは学生のとき以来ですが、もうすっかり回らなくなった指を叱咤激励しつつ練習に励んでいます。

 

ところで、先日先生を交えてのリハーサルがあったのですが、そのとき藤掛先生から伺ったお話です。

当時先生は埼玉県上福岡市(現ふじみ野市)に住み、都内の会社へ通勤する毎日。その傍らこの曲を作られたのですが、なかなか作業が進まず苦慮されていたそうです。

そんな時、気分転換に散歩した川沿いの道の風景が浮かび、その時浮かんだ曲想が冒頭のアンダンテのテーマになったそうです。

 

藤掛先生から伺ったエピソードは、実はまだまだたくさんあります。

また日を改めてご紹介していきたいと思います。

 

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第155回 フォーユーアンサンブルに出演しました              平成25年10月19日

 

フォーユーアンサンブルは、日本大学マンドリンクラブ(NUMC)のOB・OGを中心に結成されたマンドリンアンサンブルです。

10月13日(日)、このフォーユーアンサンブルの第2回マンドリンコンサートが開催され、アンサンブル青葉からもNUMC出身者が出演しました。

 

日本大学マンドリンクラブは1959年に創部された、日本大学文化団体連合会所属の、すなわちオール日大のクラブです。

これまでOB間の縦断的な演奏団体はありませんでしたが、2009年、創立50周年の記念演奏会がきっかけとなり、それまで任意団体だったアンサンブルがOB会公認の演奏団体、フォーユーアンサンブルとして活動をするようになりました。

現在ボランティア演奏を中心に、不定期に演奏会を開催しています。

 

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開演前の記念撮影です

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マンドリン・ドラ・フルート

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セロ・ギター・ベース・クラリネット

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終演し、お客様にご挨拶です。ホッとした表情が伺えます。

 

<当日演奏曲目>

マンクラ賛歌(宮田俊一郎)、エデンの東、夜明けの歌、ひまわり、ディズニー・ファンタジー(中川信良編)、

リベルタンゴ、チリビリビン、ウエストサイド物語メドレー、サウンド・オブ・ミュージックメドレー、

ローレライ・パラフレーズ、古譚・序曲第1番イ長調(ヴェルキ)・アラベスク第1番(ドビュッシー)、

交響曲第25番(モーツアルト)

<アンコール&エンディング>

あいねくらいねなはとむじーく、真珠とりのタンゴ(ビゼー)、日本大学校歌

 

会場にはOB・OGをはじめ家族・友人等約110名が来場、そこここで旧交を温める姿がみられました。本番では卒業後ン年という年代を感じさせない若々しい演奏に、盛んに拍手が送られました。

そして、NUMC演奏会での定番のエンディング、真珠採りのタンゴ〜日本大学校歌の演奏で会場は最高潮に盛り上がり、盛会のうちに幕を閉じました。

 

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第156回 パストラル・ファンタジー(その2)               平成25年10月26日

 

好きな曲を、その曲の作曲者の指揮で弾くなどというのは、筆者は初めての経験です。

藤掛先生がどんな指揮・指導をされるのか、期待でいっぱいでした。

その約3時間の練習時間をメモや記憶で再現してみます。

 

リハーサル室に颯爽と現れた藤掛先生。

集まった50名近くの楽団員たちを前に、開口一番、

「楽譜は記号の羅列に過ぎないのですから」

 

え・・・っ?

 

「その楽譜に生命を吹き込むのは、あなたたち(演奏者)なんです。気持ちを込めて演奏してほしい。そのためにこれだけの人がいるんです。」

ただ単に正確に楽譜を弾くだけなら、コンピューターに打ち込んで自動演奏にしたほうがによい。あなたたち一人一人が気持ちを込めて演奏することで、曲に生命が宿る…と熱っぽく語る藤掛先生。

 

気持ちを込める、とは?

「(まず)楽譜を見て、感じて欲しい。例えば、上昇している旋律には、自然に力が入ってくる。それを感じて気持ちを込めて弾いてほしい。僕はそういうところへcresc.とは書きません。書き出したら(書きたいことは)書ききれない。だから書かない。それよりも、感じて、気持ちを込めて欲しい。」

 

確かに先生の譜面には、あまり強弱記号(その他の記号)は書いてありません。

譜面をよく見て、音符に込められた作曲者の意図を読み取って(感じて)演奏していくことが大切なんだ…ということを感じました。そして実際、気持ちが感じられない演奏には、藤掛先生から繰り返し「気持ちを込めるよう」指導があったのでした。

(続く)

 

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第157回 パストラル・ファンタジー(その3)                平成25年11月2日

 

パストラル・ファンタジーといえば、フーガに入ったとき、その主題を奏でるのがセカンドマンドリンということでも有名です。初めて聞いた人たちから「セカンドにメロディがある!?」と評判になったとか…

藤掛先生は、かつてオーケストラに所属していた時、出番が少ないパートの担当だったそうです。その経験から「自分は、すべてのパートが主役となれるような曲を作るんだ」と思われたそうです。

 

「主役(メロディ)があったら歌ってください。」

フーガに入ると主題がまずセカンドに現れ、次いでドラへ、そしてファーストへと次々と移っていきます。主題がパートを移るたび、先生はそのパートの前に行って「はい、ここ主役!」と大きな身振りで指揮をしていたのが印象的でした。

 

そして、伴奏をするパート、メロディから外れたパートは?

 

「主役でないとき(伴奏)は、メロディを思い浮かべながら弾いてください」

「伴奏をするパートの方は、『(自分は今メロディを弾いている。その)メロディを伴奏する』つもりで弾いてください」

 

自分がやっているパートが伴奏でも副旋律でもリズムでもいい、常に主役(メロディ)を意識する。それによって演奏者が一体となり、曲の完成度が高まる…こんなことを言外に指導されていたように感じました。

(続く)

 

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第158回 パストラル・ファンタジーは井戸端会議?(その4)        平成251110

 

フーガ(練習記号l)から出を待つまで、音がないパートは大変です。

セカンドが弾き始めてドラは8小節、ファーストはそれから12小節、セロ・ベースがその後12小節。ギターに至っては更に12小節数えなければいけません。

曲は速いし難しいし、入り損ねたら大変。みなさんもここのところでは、譜面を睨みつけて一所懸命数えていませんか?

 

そんなみんなを見て、藤掛先生は「みんなしかめっ面して…苦しくありませんか?」と語りかけました。

「いいですか、呼吸(いき)のない演奏をしてはいけません。苦しくなります。お客さんは呼吸をしているのに、みんなが呼吸をしていないとそれが伝わってお客さんも苦しくなります。それでは楽しくありません。」

「みなさんはカラオケを歌うときは、苦しそうにしていないでしょう?呼吸をして、楽しんで、カラオケでも歌っているつもりで弾いてください。

 

また、「ここのところl)は、井戸端会議なんです。」とおっしゃる。

「まずセカンドがわいわいと会話をしている。そこへドラが「なになに?」と混ざってくる。やがてファーストが「私も混ぜて!」と加わってくる。やがてセロ・ベースが、そしてギターが入って全員が楽しく盛り上がっていくんです。間違えてもいいから、元気よく生き生きと歌ってください。

間違えることを怖れて萎縮してしまうと、いい演奏は出来ない。それよりも思い切って伸び伸びと演奏しよう。その方がいいし、また却って間違えないものだ、繰り返しおっしゃいました。

 

先生が最後に強調したことは、「作者の本当にやりたいことは何か?(それを感じ、考えて弾こう)」ということでした。まさにそれを感じ、考えることで、本番では、これまでになく気持の入った演奏でお客様の拍手をいただくことができました。

 

今回、パストラル・ファンタジーを通して藤掛廣幸先生のご指導されたことは、藤掛先生の曲のみならず、他の曲を弾く際にも大いに参考になることだと思います。皆さんの今後の演奏の一助となれば幸いです。

藤掛先生、どうありがとうございました。

(本稿は、藤掛先生のご指導を、筆者のメモと記憶をもとに再構成したものです)

 

ユーチューブヘ飛びます:

藤掛先生の指揮による演奏→http://www.youtube.com/watch?v=r6gtUNXXpxQ&feature=youtu.be

 

 

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第159回 青葉区民音楽祭に出演しました                  平成25年11月17日

 

横浜市青葉区の秋の恒例、青葉区民音楽祭「青葉音楽百景」が開かれています。

このうち、5団体による合同演奏会が11月10日(日)青葉公会堂で開催されました。アンサンブル青葉はロビーコンサートを2回開催、多くのお客様にマンドリンの音色を楽しんでいただきました。

 

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演奏曲:マンドリナータ、碧空、グラナダ、ニューシネマ・パラダイス

 

ロビーコンサートというスタイルでしたが、演奏開始前から多くのお客様に集まっていただき、1曲ごとに暖かい拍手をいただきました。

今回は時間の関係から4曲しか演奏できず、お客様のアンコールの声にお応えできなかったというハプニングがあったのですが、初めてマンドリン音楽を聴いたという方から「次回はぜひステージで聞きたい」との感想をいただくなど好評のうちに終演することができました。

 

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第160回 編曲あれこれ                             平成25年11月24日

 

クラッシック曲やポピュラー曲などをマンドリンアンサンブルで演奏する時には、編曲しなければなりません。

この編曲が、その曲や演奏者の好み、そしてより根本的にはマンドリンに合っているか…結構大切なことなのかもしれません。

 

例えば、クラッシック曲をマンドリン編曲するとします。管弦楽曲は、弦5部に木管4部、金管4〜5部・打楽器がありますが、これをマンドリンでは弦6部で表現しなくてはなりません。勢い弦各部には負担がかかってきます。そこに管を入れるのか入れないのか、入れるとしたらどこまで入れるのか?編曲者の考えと、演奏者の力量が問われてきます。

 

また、編曲には調をどうするのか?という問題も出てきます。

例えばシャンソンの名曲「愛の賛歌(Hymne à Iamour)」ですが、原調は変ホ長調(♭3つ)です。これは、半音下げてニ長調(♯2つ)で書いた方が読譜はしやすいし、弾きやすいのです。しかし、原調の方が、シャンソンの響きとしてはしっくりくるような気がします。

 

調を変えたことによって楽器が弾きにくくなることもあります。

今年賛助出演した演奏で、原調ヘ長調(♭1つ)の曲をニ長調に編曲した譜面を弾きました。すると、どうも違和感があって弾きにくい。

ヘ長調をニ長調にするということは、主音が2度下がったことになります。すると、原調ではなかった4番線(最低音弦)の音が出てきたのでした。

低音担当の方はご理解いただけると思いますが、どの楽器でも最低音弦は弾きにくく、また最低音弦を使うようなメロディーは響きにくいものなのです。これが違和感の原因なのでした。

もしかしたら、編曲者の方はそのことに気がつかなかったのかしらん?

 

どのような楽譜が来ても弾きこなせるように、常日頃から練習を重ねていくことはもちろんです。それと共に、マンドリンアンサンブルの各楽器の特性を熟知し、楽器の表現力を最大限発揮できるような編曲作品が多数出版されることも望みます。

 

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第161回 「七色の声」を持つ方法                        平成25年11月30日

 

山寺宏一さんといえば、「七色の声を持つ男」。映画「ビバリーヒルズ・コップ」のエディ・マーフィー、「アポロ13」のトム・ハンクスなどの吹替えから、アニメ「ルパン三世」の銭形警部、「それいけ!アンパンマン」のかまめしどんやカバオくん等々、日本人から外国人、老人から若者まで実に多彩なキャラクターを演じるというマルチな声優さんです。

 

その山寺さん、テレビで「声の使い分ける方法」を披露していました。(TBSテレビ「ぴったんこカンカン」11月29日放映分)

それによると、「声の高低」、「喉を開くか閉じるか」、そして「息の成分を入れるか入れないか」で多くの声色を使い分けることができる、というもの。

 

「声の高低」。これはわかります。

「喉を開くか閉じるか」。これは「のどちんこをあげると『開いた』声になり、下げると『こもった』声になる」というもの。

そして「息の成分」。これを多く入れると「ハスキー」な声になっていくそうです。

これに巻き舌にする・しないといった「舌の使い方」などを加えていって、多くの人物(だけとは限りませんが)を声だけで演じ分けるのです。

 

さて、私たちの声というべきマンドリン属の楽器も、こんな風にいろいろな音色を奏でることができるのでしょうか?

 

まずは弦。

筆者はマキシマ(オプティマ)の赤しか使ったことがないのですが、これを他のメーカーに変えることで音色が変わるといいます。ただ、曲ごとに弦を変えるわけにはいきませんから、これはひとまず除外。

 

つぎにピックです。

ピックの材質にはべっ甲・ナイロンなどがあり、また厚さ・形状・大きさ・硬さが選べます。

筆者の経験では、ナイロン製の厚い方ものが柔らかめの、薄いものが硬めの音がしました。

曲によってピックの材質・硬軟・厚さを使い分けることが出来たら、演奏の表現が一層広がる…かもしれません。

 

また、演奏方法でsul ponte(駒の近くで弾く)sul manicosul tasto(ネック・指板の上で)という方法はご存じでしょう。

sul ponteにすることで硬い、あるいははっきりした音に、sul manicosul tastoで柔らかな音にすることができます。

こうした様々な方法を使い分けることで、マンドリンも七色の声を持つことができる…のかもしれません。

 

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第162回 BとH                                  平成25年12月7日

 

DO−Re−Mi…の音名。日本ではハニホ…。これをアルファベットで表すと?

CDEFGAH(ドイツ式)、CDEFGAB(英米式)。

違いはSi(ロ)。英米式ではすんなりBなのに、ドイツ式ではHになっています。ドイツ式でのBは、半音下がった変ロ(英米式ではB♭)を表すのはご存じの通り。

同じ音でなぜ音名に違いがあるのでしょう?

 

ドイツ式でSi(ロ)をHと表す訳は、中世の教会調にその理由を求めることができます。教会調には様々な種類がありますが、どの教会調でもSi(ロ)の取り扱いがポイントでした。

すなわち、Si(ロ)はFa(へ)から増4度(全音3つ)にあたり、これは実際上にも理論上も嫌われていた音程だったのです。そのためSi(ロ)は多くの場合半音下げて「変ロ」にして歌われました。また、この時代の教会調で臨時に変化する音は、殆どSi(ロ)に限られていました。

 

ここからドイツでは、半音下げたSi(ロ)をB-molle「柔らかいB」といい、この音をより多く使うのでこれにBをあて、もとに戻したSi(ロ)をB-durum「固いB」といって、あまり使わないこの音にアルファベット第8字のHをあてたのです。これが、BとHの起源となりました。

 

ところがイギリスやオランダでは、このような変化がなかったため、Si(ロ)は単純にアルファベットのBとなったのでした。

なおフラット記号♭はbの変形です。もとの「半音下げての音を使う」という意味から「どんな音でも半音下げる」ことを意味する記号となったもの。ナチュラル記号hの字の変形です。音を「もとのhに戻す」という意味から「どんな音でももとに戻す」という意味になったそうです。

 

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第163回 教則本                               平成25年12月14日

 

前回ふれた「固いB」B-durumと「柔らかいB」B-molleですが、このスペル、どこかで見たように思いませんか?

そうです、これはドイツ語で長調・短調を表すdurmollの語源でもあったのです。

私たちが普段何気なく使っているD-durH-mollなどという言葉。この大本が♭とだったというのは、意外ですね。

 

さて、演奏会もひと段落。次の演奏会の曲が決まるまでの間、どうしようかな〜?

実は筆者にとっては、今シーズン少々悔いの残るものがありました。

基礎練習の不足から、十分に弾けないことがあったからです。

そこで新しい曲が決まるまでの間、基礎練習をすることにしました。

 

そうはいっても単純な音階練習だけでは、やはり飽きてしまいます。

そこで登場するのは、やはり教則本。ピアノならBeyer、チェロならWerner、ギターならCarcassi

もちろんマンドリンはOdellということになりましょう。久しぶりに引っ張り出してきました。

学生時代に先輩からあれこれ教わりながら取り組んだ譜面は、今見ると意外に新鮮です。一つ一つ指使いを確認しながら、またメトロノームでテンポをとりながらこなしています。

 

また友人のCello弾きは、なんとOdellをへ音記号に直して練習しています。

Wernerは優れた教則本ですが、もともとViolncelloのためのものなので、どうしても限界がある。なら「作っちゃえ!」と一念発起したのだとか。

初心に戻って、また来年いいシーズンが迎えられますように!

 

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第164回 メンテナンス                           平成25年12月21日

 

オフシーズンの今、もう一つやっておくべきことに気がつきました。それは楽器のメンテナンスです。

普段お世話になっている楽器に、感謝の気持ちを込めて手入れをしてあげましょう。

 

といっても、私たちにできるのは、フレット回り・ピックガードの清掃、袖板の内側に溜まった埃の除去、弦の張り替えとペグへの注油(5−56)位でしょうか。

そういえば筆者の楽器、学生時代に作ってからずっと弾きっぱなし。ボディもすっかり日に焼けていい色になって来ましたし、このままでいいのかな?

 

そこでイケガクで見てもらいました。すると、現状では特に大きな問題はなく、フレットの打ち直しとブリッジの製作で済むとの見込がでました。今は使用する弦によってブリッジを変えるようですね。但し期間は一旦工房に送るので1〜3か月かかり、また、万一工房で大きな問題がわかった場合、期間と費用は応相談、とのこと。

楽器の状態には一安心なものの、メンテナンスに出せばその間弾く楽器が無くなってしまうので、「う〜ん」ちょっと検討中なところです。

 

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第165回 メンテナンス(その2)                         平成25年12月28日

 

ところで、工房ではどのようなメンテナンス作業がされるのでしょうか?

先日、バイオリンではありますが、修復工房がテレビで紹介されていました。

「バイオリンの町」として有名なイタリア・クレモナ市。そこで活躍するエリック・ブロッド氏とその工房です。

エリック・ブロッド氏は世界的なバイオリン・チェロの修復・鑑定家で、工房にはストラディバリウスなどの貴重なバイオリン達が修復を待っています。

 

工房入りした楽器は、ボディからネックをはずすなど最小限度分解されます。

 

この時必要なのが、精度の高い工具です。ネックを外すためには、貴重な楽器に刃を入れなければなりません。

その大切な作業に使われているのが、日本製の極小サイズの鋸。刃の厚さ僅かに0.25mm(新聞紙3枚分)という鋸を使い、楽器に与えるダメージを最小限度に抑えて分解されています。

 

そして分解した楽器の状態をつぶさに確認し、必要な補修を加え、組み立てていくのです。

「300年生きてきた木を、あと300年生かすために」修復するのがエリック・ブロッド氏の信条です。

 

マンドリンという楽器、特に近代マンドリンの歴史はまだせいぜい100年余り。ストラディバリウスのような「ヴィンテージマンドリン」というのはあまり聞いたことはありません。

でも私たちが弾いているマンドリンやドラ、セロやギターが、適切にメンテナンスをしていくことで、またエリック・プロッド氏のような「100年生きてきた楽器を、次の100年に生かすため」の仕事をする職人さんがいることで、いつかストラディバリウスに匹敵するようなヴィンテージマンドリンになるのかも…しれません。

 

 

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