アンサンブル青葉

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Members Voice Bachbumber 12…2016(平成28)年1月〜6月

 

Backnumber12目次→

1月

反省・反省

楽器の休息

ツプフとセロ

かやのきコンサートに出演しました

4月

仰げば尊し

新曲募集

黎明

KMF合同合奏練習

2月

夜行列車

MY SONG

古今東西

乾山

5月

礼三息

小笠原流とダイエット

KMF開催

コンサートピッチ

3月

若い力

5年

「1・2・3・4・5」

卒業式SONG異変

6月

ちょっと息抜き

どきどき

パシフイック231

 

 

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第271回 謹んで年頭のご挨拶を申し上げます                   平成28年1月1日

 

皆さん明けましておめでとうございます。

昨年の念頭の挨拶は災害のお見舞いから始まりましたが、一年を経た今年も、同じく災害やテロにより避難を余儀なくされている方たちへの幸せを祈らずにはいられない日が続いています。

そんな中で好きな音楽を楽しめていることはなんと幸せなこと、と感謝しています。

 

昨年は、定演の空き年と言うことで、懸案だった福島への慰問演奏や、部内発表会などを多くの部員参加のもと行うことができ、とても充実した一年でした。

 

今年は秋に定演が控えておりこれに向かって最大の努力を傾けていきますが、その前に春の「神奈川マンドリンフェスティバル(KMF)」の幹事団体を無事に務めあげる、というハードルが待っています。

ご多分にもれず我が団体も高齢化が進んでいますが(笑)、年齢に負けず、合同演奏の楽譜作成から、舞台進行・チラシ作り・会場運営等を全員で役割分担し、成功に向けて進んでいます。

今年は2つの大きなイベントを成功したいと考えています。

 

今年もよろしくお願いします。

 

アンサンブル青葉会長 藤崎 哲郎 

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心からお見舞い申し上げます                           平成28年1月1日

 

平成23年東北地方太平洋沖地震、そして昨年も平成27年9月関東・東北豪雨、口永良部島噴火など、自然災害が多く発生しました。これらの災害により落命された方々に心より哀悼の意を捧げます。

また、現在避難生活を続けておられる方々に、心よりお見舞い申し上げます。

被災地の一日も早い復興を祈念いたします。

 

アンサンブル青葉

 

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第272回 反省・反省                              平成28年1月9日

 

新年早々、演奏会を開きます。

いや、これは筆者のお話。学生時代の友人に誘われての演奏会に出演します。

今回は指揮者がいないアンサンブルです。練習を重ねていくうち、いろいろな(自分の)問題点が見えて来ました。

 

1.各自が(いや、自分が)隅々までキチンと弾けるようになること。

至極当然の話ですが、今回のようにパートの人数が少ないアンサンブルでは、一人が(自分が)弾けないと合奏全体に影響します。

 

2.テンポ感

音形が変わるところ(メロディからリズムに変わる、オブリカードや合の手を入れる…)などでは、特にキチンとしたテンポ感を持っていないと合いません。

普段は指揮者に、また個人練習時にはメトロノームに合わせるところですが、そうしたものが全く無く、テンポ感のキープは大変でした。

ことにメトロノームに合わせて練習していると、「メトロノームに合っているからOK!」と安心してしまい、いざ実際に音出しのときテンポがとれていなかった、ということがありました。

 

3.アゴーギグとアインザッツ

前項に関連しますが、あるパートだけがアウフタクトで先行しその後入るときとか、ソロの伴奏でソロのテンポが揺れるときなど、お互いによく聞き合わないと合いません。

こういうとき、ただ聴くだけではダメ。解決策はテンポ感を持って入ることと、アタックの前に意識してブレスすること、の二点でした。

特にアタックの前に意識してブレスすること…意識して吸い、アタックで吐く、つまり息を合わせること…は、テンポが揺れるときや、休符の後の入り・長音の後の入り等でも実に有効でした。

 

筆者は普段、指揮者に合わせるということをしています。

しかし、指揮者なしのアンサンブルでは自分でテンポを取らなくてはなりません。

また、アンサンブルである以上、他のメンバーと合わせることが欠かせません。

今後の演奏活動のうえで、大いに参考になる経験です。

 

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第273回 楽器の休息                           平成28年1月16日

 

演奏会もひと区切り。今年のシーズンに向け暫しのお休みになります。

 

ふと気がつくと、我が愛器、だいぶくたびれた顔をしています。

フレットが減ってきており、ペグもだいぶヘタっている気配です。そういえばここのところチューニングし辛く、またチューニングが安定しないなどに悩まされてきました。

それも学生時代から使いっ放しで、ろくにメンテナンスしていないからでしょう。これでは楽器に狂いが出てきていても仕方がありません。我が愛器にも、休息が必要なようです。

 

今までは長期間のメンテナンスに出すことは、あまり考えていませんでした。なにせ、その間弾く楽器が無くなってしまいます。

そこへたまたま楽器を持っている人が、メンテナンスの間借してあげてもいいよ、いってくれました。それならばと、思い切ってメンテナンスに出すことにしました。期間は約2ヶ月の予定です。さて、どんな姿になって帰ってきてくれるでしょうか。

 

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第274回 ツプフとセロ                            平成28年1月23日

 

第235回で登場のセロ弾き君。

無事に演奏会も終わったようです。彼の楽団は出来たばかりで人数が少なく、特にギターがいないという。そんな楽団が「やりたい!」と選んだのがよりによってツプフの曲なのですから…。

彼の目の付けどころは、音域。セロとギターの低音部は音域が同じであり、伴奏であれば十分セロでギターの代わりが出来ると踏んだのです。

で、ギター譜を参考にセロ譜を書き、演奏に臨んだのでした。

そんな彼に、感想を聞いてみましょうか。

 

――譜面作成上の苦労は?

「基本的にギターの音(ト音記号)をセロの音(へ音記号)に直すだけだったので、さほど難しくなく譜面はできました。全く同じ音を拾えなかったとしても、コードを読んで、小節単位では同じ和音構成になるようにしたので、おかしくはなかったはずです。」

 

――ほう、では演奏も楽々と?

「いえ、その出来た譜面が弾きやすいのか?となるとまた別の問題でした。例えばアルペジオでの伴奏ですが、セロでギターと同じ音を拾っていくと指使いに無理があったりして演奏には苦労しました。」

 

「ギターは第1音(強拍)を親指でベース音を入れ、第2音(弱拍)で人差し指・中指・薬指で重音を入れるパターンがあります。この後拍で入れる重音は結構目立つ、重要な音なのですが、その指使いに苦労しました。」

 

「また、安易にギターの譜面(16分×2と8分のリズム)どおりにすると、セロでは音が響きすぎて良くなかった事もありました。ギターはガット弦を指で、セロはスチール弦をピックで弾くその差が出たようです。また、その時セロはG・D線の開放弦使用だったのも原因の一つでした。やはり、適度に省略するなど、工夫が必要でした。」

「というわけで、実際には弾きながら、合奏しながら少しずつ調整していった、というところです。」

 

――では、今回の感想を

「セロとギターは、隣同志でありながらあまり良く知らなかった所があります。今回はその『良く知らない』楽器の特性を理解するいいチャンスでした。」

 

――ありがとうございました。今後とも頑張ってください。まず、ギターを誘って!

「は〜い!」

 

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第275回 「かやの木・土曜コンサート」に出演しました            平成28年1月30日

 

去る23日、「第59回かやの木・土曜コンサート」が開催されました。このコンサートは、大場地域ケアプラザが毎奇数月の土曜に主催。青葉区内の音楽・文化サークルが地域の方・ケアプラザ利用者の方をお客様に、自分たちの活動を披露します。

アンサンブル青葉は2013年5月以来、久々の出演となりました。

当日は、降雪も予報されるなど寒気が押し寄せるなか、それでも多くのお客様がご来場くださいました。

 

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司会進行する指揮者

熱演する指揮者と中音部群

お客様は地域の方・施設利用の方

 

演奏曲目

踊り明かそう、エターナリー、愛の挨拶、プリンク・プランク・プルンク、真珠採り、碧空、スペインの花、

海沼實童謡集(みかんの花咲く丘、蛙の笛、お猿のかごや、里の秋)、夢の桃太郎(夢路、流れの桃、誕生の喜、森のたわむれ、鬼が島、凱旋)、見上げてごらん夜の星を、浜辺の唄、アンコール再演 碧空

 

コンサートは指揮者自らの司会の下進行。曲目を紹介するたび、お客様から「この曲知っている」「歌は川田姉妹だよね」などとお声が掛かるなど終始和やかな雰囲気の中、無事終演しました。

 

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第276回 夜行列車                             平成28年2月6日

 

もうすぐ北海道新幹線が開業します。それに伴い、在来線の青函トンネル通過が制限され、旅客列車は廃止となります。その中に、上野発札幌行き寝台特急「カシオペア」も含まれており、これで上野発の夜行列車は無くなることになりました。

 

夜行列車…夜汽車。何とも懐かしい響きです。

かつては長距離輸送の花形で、夕方以降のターミナル駅では各方面行の青の列車が次々と発車していたものです。

当然、歌の題材にも多く使われていました。思いつくまま何曲かあげてみますと…

 

♪上野発の夜行列車降りた時から 青森駅は雪の中…石川さゆり『津軽海峡・冬景色』(作詞:阿久 悠)

 

♪あーだから今夜だけは 君を抱いていたい あー明日の今頃は 僕は汽車の中…チューリップ『心の旅』(作詞:財津 和夫)

 

♪花嫁は夜汽車に乗って 嫁いでゆくの…はしだのりひことクライマックス『花嫁』

 

まだ高速交通機関がなかった時代、受験・就職・恋愛・転勤といった人生の節目節目に登場し、出会いと別れを演出してきた夜行列車。時代の変遷と共に、やがて去ろうとしています。

 

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第277回 MY SONG                            平成28年2月13日

 

フィギュアスケートの浅田真央選手が、歌手の浜崎あゆみさんのアルバムへのライナーノーツを寄稿しています。

 

実は浅田選手は浜崎あゆみさんの大ファン。その出会いは、浜崎さんのベスト曲を集めたアルバム「A Best」からだといいます。中でも代表曲「A Song for xx」が大のお気に入りで、「負けそうになるとき、この曲を聞いて、前に進んでいこうと思えます」と勇気をもらっているそうです。

 

さて、今回のアルバムはその「A Best」の15周年記念の復刻盤なのですが、オリジナルの「A Best」の発売は2001年。浅田選手が小学校5年生の時となります。小さい頃から競技を重ね「天才少女」と言われてきた彼女ですが、やはりかかるプレッシャーは並大抵のものではなかったのでしょう。そんな浅田選手の支えの一つが、「A Song for xx」であったことは間違いなく、この曲は浅田選手のMY SONGと言えそうです。

 

天才少女を勇気づけたのは、MY SONG。

あなたのMY SONGは何ですか?

折りに触れ口ずさみ、嬉しい時の喜びを分かち合い、悲しい時の慰めとなり、進む時の励ましとなるMY SONGを私たちも一曲、選んでみませんか?

 

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第278回 古今東西                            平成28年2月20日

 

昨年亡くなった作家の阿川弘之さんは、末の息子さんに「本はいいものだぞ」と教えていました。「本を読めば、古今東西の誰とでも友達になって話をすることができるんだ。だから本は読め」と語られたそうです。

私たちに置きかえると、「音楽に親しめば古今東西の誰とでも友達になれる」ということになるのかもしれません。

 

実はいま、レスピーギの「リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲」のスコアを見ています。

「リュートのための古風な舞曲とアリア」は、レスピーギが16〜17世紀のリュート曲を採譜・収集し、それに自由な編曲を施したもので、三つの組曲があります。

第3組曲は、この三つの組曲のうちもっともよく演奏されるもので、特にその第3曲「シチリアーナ」はその哀愁を帯びたメロディと相まって、誰も一度は耳にしたことがあることでしょう。

 

さて、「リュートのための古風な舞曲とアリア」の原曲が作曲されたのは、前述の通り16〜17世紀、バロック音楽の時代です。そして、この時代の音楽の特徴としては「ヘミオラ」があげられます。

「ヘミオラ」は3拍子系舞曲の終止形の前で、2拍を1拍にとり、2小節で大きい3拍子を作る変拍子の一種です。実際のバロックの舞曲では、ヘミオラの部分で踊りのステップが変わりますし、演奏する場合でも記譜上のアクセントの位置をヘミオラ拍に合わせてずらし、メロディを読み替える必要があります。

 

しかし「リュートのための古風な舞曲とアリア」は、原曲を素材にレスピーギが近代的手法で編曲したものです。原曲でヘミオラ拍になっている部分が全てヘミオラになっている訳ではありません。ある部分では原曲の通りのヘミオラでバロックの雰囲気を残し、また別の部分ではそこから離れた近代オーケストレーションが施されているのです。

そしてその差は、ヘミオラの音形のほか、例えばスラーのつけ方、アクセントの置き方など微妙なもので表されています。

 

この曲を演奏するとき、これがわかっていれば「ここはヘミオラ」「ここは今風に」と考えて弾き分けることができるでしょう。さらに「なぜレスピーギはヘミオラにしたのだろう」「なぜここはヘミオラにしなかったのだろう」と考えていったのですが、…

もちろん筆者は専門家ではありませんし、専門知識も乏しいもので、結論はでていません。しかしこのことを、本を紐解いたり、ネットで検索したりする時間は、実に楽しいものでした。大げさな言い方ですが、筆者は気がつかないうちに、譜面を通してレスピーギと対話していたのかもしれません。

 

私たちが普段何気なく弾いている楽譜、演奏。その見方をちょっと変える、ふと疑問に持ち調べてみる、それが作曲者や編曲者との対話に繋がっていくなんて、素敵なことではありませんか?

 

 

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第279回 乾山                                平成28年2月27日

 

早いものでもう2月の末になりました。これから少しずつ暖かくなっていくでしょう。

新しいシーズンも、もうすぐスタートです。

そんな中、音楽から離れた話題を一つ。

 

「花籠図」を観る機会がありました。作者は、尾形乾山。戦国時代末期・安土桃山時代から江戸時代初期にかけて活躍した絵師です。「花籠図」(福岡市美術館蔵)は乾山の代表作の一つで、桔梗・女郎花・菊・薄が投げ入れられた三つの花籠を描いたもの。花が鮮やかな色彩で緻密に描かれているのに対し、花籠は墨で無造作に描かれている…という絵柄です。

 

さて、絵のことはよくわからず、どう鑑賞してよいものか?

 

葉室麟は小説の中で「絵の中に人の心を偲ぶ」という意を書いています。例えば、三つの花籠を源氏物語の一段になぞらえてみる。あるいは、自分の近しい人に当てはめてみる。

専門知識がなくていい、絵を観る人が、絵の中にどれだけの物語を紡ぎたせるのかが大切なのだ、と言っているように思えます。

新しいシーズンへ向け、何かきっかけを得られたようでした。

 

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第280回 若い力                                平成28年3月5日

 

母校のクラブのOBと現役学生との懇親会がありました。

自分の現役時代、OBといえばバリバリのビジネスマン。ましてOB会長様となれば雲上人であり、やたらに緊張したことを覚えています。

しかし先日の学生さんたちはとてもフランクで、OBの話に熱心に聞き入ってくれました。年齢的に親子+αほど年の離れていたのですが、そこはマンドリン音楽という共通の土台があるおかげでしょうか。

 

そんな中、筆者が残念に思ったのは「何の曲をやりたい?」と聞いたときでしょうか。彼らの口からイタリアオリジナルはもとより鈴木静一・赤城淳といった名前は出て来ず、大体が新しい邦人作曲家の曲なのです。

やはり学生マンドリン界では新しい曲が好まれるようで、発表されると各大学に次々に波及していくようです。

 

「音楽のジャンルは新しいオリジナル曲ばかりじゃない。クラッシックのアレンジ曲やポピュラー曲、それに(もしかしたら古典といってもいい)古いオリジナル曲もある、それらもたまに顧みてほしいな〜」

などと偉そうに能書きを言っていたのですが…

 

実は残念なのは自分自身に対してだったのかもしれません。その時話題に出た新しいオリジナル曲はどんな曲なのか、さっぱりわからないからです。

せめてタイトルたけでも、あるいはさわりだけでも知っているなら…。

そして若い彼らが、その曲のどんな所に魅力を感じているのか。

それを知ること、弾けるようになることが自分の可能性を広げることになるかもしれないのです。これからますます勉強しなくてはなりません!

 

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第281回 5年                               平成28年3月12日

 

またこの日がめぐってまいりました。

あの大きな災害で落命した方々に、改めて哀悼の意を捧げます。

また、5年経った今も避難生活を続けておられる方々に、心よりお見舞い申し上げます。

 

私たちは、幸いにして無事音楽活動を継続することができました。

昨年は、被災地の方々へ、その音楽をお届けすることができました。

私たちは、これからも自分たちの音楽を磨いていきたいと思います。

そして、また機会があれば、また被災地の方々へ音楽をお届けしたいと思っています。

 

私たちは音楽を趣味としているサークルです。

私たちが無事に音楽を続けていくこと、そしてそれを皆さんにお届けすること。

これが、犠牲となられた方、避難を続けている方、復興へ汗を流しておられる方々への、私たちのエールです。

 

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第282回 「1・2・3・4・5」「1・2・3・4・5」              平成28年3月19日

 

先日、筆者の知り合いのアンサンブルでの練習風景です。5/8拍子の曲を演奏するのに、皆が声出ししています。

 

5拍子のように、2・3・4拍子(単純拍子)以外の拍子を変拍子といいます。いや、筆者の愛読書「音楽の基礎」の中では「混合拍子」とされていますので、そちらの方が正しい名称なのでしょう(他に「単純拍子」の各拍が分割された「複合拍子」があります)

筆者が「混合拍子」なるものを知ったのは学生時代。ムソグルスキーの「展覧会の絵」や、チャイコフスキーの第6交響曲第2楽章など、指揮法の本を見ては5拍子を振ったものです。

 

さて、混合拍子は新しい曲によく使われていて、出会わないことはありませんね。

そして混合拍子で困るのは、練習のとき通常のメトロノームでのテンポ練習ができないことです。

 

テンポの指示は=160。これが6/8ならば符点4分に直して108位の2拍子でとるところですが、5/8ではそれはできません。

ならば8分音符でとるか。

しかし、=160ならば♪=320になります。普通のメトロノームでは208、電子メトロノームで250位が上限、さあどうする?

 

とりあえず♪=250として試演奏すると、電子音がピ・ピ・ピ…と忙しなく鳴り響くだけで、誰もうまく取れない。それでも練習を進めていく中で、誰かが声を出したのをきっかけに皆で「1・2・3・4・5」と数えはじめました。結局それが一番簡単・確実なんですね。

 

5/8は6/8に比べ割り切れないため、慌ただしさ・せわしなさや不安感などを感じさせます。現代作家の感性をどこまで表現できるか、挑戦が始まったようです。

 

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第283回 卒業式SONG異変                        平成28年3月26日

 

今年も3月が終わります。あっという間の3か月でした。ということは、卒業式もおわりですね。

卒業式では、どんな歌が歌われたのでしょうか。

 

まず「旅立ちの日に」が挙げられます。

1991年に作られたこの曲は、もともとある中学の卒業式限定の歌でした。しかし内容が素晴らしいと評判になり、一般向け合唱曲として発表され、それ以来徐々に広がり続けました。今や「仰げば尊し」を完全に凌駕し、卒業式の定番SONGとなっています。年代にすると、40歳代より若い人たちは、ほぼ「旅たちの日に」の世代です。

(第126回で触れています。興味のある方は、Backnumber7 「今こそ別れ目」をご覧ください)

 

ところがこの「旅立ちの日に」も、あと何年かすると別の歌にとって代わられるかもしれません。実は今、小学生に「卒業式で歌いたい歌」を聞くと、別の歌がトップに挙げられているのです。

その歌は、「桜ノ雨」

 

「桜ノ雨」って、ご存知でしたか?

驚くなかれ、原曲の歌い手はなんと「初音ミク」。つまりバーチャルの(実在しない)人物なのです。

 

しかし、逆にバーチャルの人物が歌っていることが、受ける原因の一つといいます。原曲の歌い手がバーチャルであるため、自分たちが歌うとき感情移入がしやすい、というのです。

また、歌い出しは「それぞれの場所へ旅立っても友達だ 聞くまでもないじゃん」という話し言葉。小学生たちは、自分たちの普段の会話に近いこの歌詞に親しみを感じるのだそうです。

 

何れにせよ、やがてこの歌が卒業式の定番ソングとして台頭してくることは、間違いなさそうです。

 

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第284回 桜                              平成28年4月2日

 

先週冷え込んだせいか、開花宣言から花が開くのがゆっくりでしたね。

そして、週半ばからの陽気で、一気に満開!見頃です。

 

桜というと、半世紀程前、筆者の小学校の入学式。新入生を迎えたのは満開の桜であり、その2年後、転校を惜しんで校庭に遊んだとき、見送ってくれたのも満開の桜でした。

桜は、出会いと別離の花。今年はどんな出会いが待っているのでしょうか。

 

新たな出会いの予感に胸を膨らませつつ、桜を愛でに出かけませんか?

 

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第285回 仰げば尊し                           平成28年4月9日

 

卒業式ではあまり歌われなくなってしまった「仰げば尊し」。

しかし、この歌が印象に残る映画がありました。1956年の「ビルマの竪琴」です。

「ビルマの竪琴」といえば「埴生の宿」のイメージが強いのですが、「仰げば尊し」が演奏されるのはラストシーンです。

 

そのラストシーン。明日は日本に帰るという部隊の前に、僧となった水島上等兵が現れます。

「おーい、水島、一緒に日本へ帰ろう!!」との呼びかけに対し、水島はこの曲、「仰げば尊し」を演奏し、静かに消え去るのでした。

 

この時、水島はビルマの民族楽器サウン(ツァウンとも)を弾いていますが、実際の演奏にはハープが使われています。

音楽を担当したのは伊福部昭。伊福部は編曲にあたり、「水島上等兵は正規の音楽教育を受けていない」と想定、あえて和音や和声進行といったものをはずし、リアリティを追求したといわれています。

 

ハープですが、実は私たちが弾くマンドリンとある関わり合いがあります。わが国にマンドリンを紹介したのは四竃(しかま)()(つじ)ですが、四竃はハープも紹介していたようなのです。

日本でのハープ初演は1894年。四竃訥納のマンドリン・天羽秀子のヴァイオリン・四竃富士子(四竃訥納の長女)のハープという三重奏で演奏された「八千代獅子」という曲、これが日本におけるハープのお目見えでした。

ハープ奏者の富士子は、この時11歳。音楽の天分にも恵まれていたのですが、惜しくも18歳で亡くなっています。彼女が長寿であれば、わが国のハープ界はもう少し違っていただろうといわれていますし、また、マンドリン音楽にハープが積極的に使われていたかもしれません。

 

「ビルマの竪琴」では、伊福部は上記二曲のほか、「こがねむし(中山晋平作曲)」や「荒城の月(滝廉太郎作曲)」など、誰もが知っている歌曲を多く使いました。しかしただ使っただけでなく、そこには伊福部調というべき編曲を施しています。そのため「ビルマの竪琴」の音楽は、彼の映画音楽の代表作のひとつとなっています。

改めてDVDなどを観るのもよし、最近発売のハープ曲CDにも収録されていますので、じっくり鑑賞してみてはいかがでしょう?

 

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第286回 新曲募集                             平成28年4月16日

 

「楽器のメンテナンスができました」楽器屋さんから待望の電話があり、早速引き取りに行ってきました。

土曜の午後、若い人でごった返す店内で待つことしばし。店員さんが恭しく持ってきた我が愛器と2ヶ月半ぶりにご対面です。

「あれ、こんなのだったかな?」と一瞬戸惑い、サウンド・ホール内のラベルを確認してホッと一息ついた次第。

 

メンテナンス確認には試演奏が付き物です。店員さんが用意してくれた椅子に腰かけ、さて、何を弾こう?

別に誰に聞かせるわけでもないのに、妙に意識してしまいます。

 

取りあえず音階を弾いて時間を稼ぎ、これまでに練習してきたことのあるSolo曲のさわりの部分を、それもほんのちょこっとだけ弾いてみて、したり顔で「うん、良くなったね」などと言ってしまいました。

こんなとき、不意に楽器を手にして音を出す時、さらっと弾ける曲があるといいな…動機は少々不純ですが、新しい楽譜が欲しくなりました。

 

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号外 心よりお見舞い申し上げます                       平成28年4月16日

 

 「平成28年熊本地震」により、甚大な被害が発生しています。

 不幸にして落命された方々に心よりお悔やみを、避難をされている方々に心よりお見舞い申し上げます。

 災害の早期終息と、御地の復興を祈念いたします。

 

アンサンブル青葉

 

 

 

第287回 黎明                              平成28年4月23日

 

九州で大きな自然災害が発生しました。平成28年熊本地震です。

一連の地震とそれに伴う土砂災害・不自由な避難生活等で不幸にして落命された方々に、心よりお悔やみ申し上げます。また、被災された多くの方々に心よりお見舞い申し上げます。

 

マンドリニストである筆者にとって、九州・熊本の地といえば、鈴木静一の「火の山」に代表される火山、まさに火の国のイメージです。そして火の国は、手塚治虫の名作「火の鳥・黎明編」の舞台でもありました。

「火の鳥・黎明編」とは、どんな物語だったのでしょうか?

 

太古の昔、熊襲の国。

大規模な自然災害によって、主人公の一家は火山の火口のような窪地に閉じ込められてしまいます。そこは絶壁に囲まれており、上の方遥かに空を望めるだけで、到底登ることはできません。

 

「閉じ込められてしまった…」と、一度は絶望しかけた主人公ですが、ふと、その窪地の底に新芽を見出します。

名前も知らない雑草の、しかしその若々しい新芽に希望を見出した主人公は、生活を再建していくことを決意するのです。

 

さて、主人公には息子がいます。息子は成長とともに窪地からの脱出を志し、主人公の反対を押し切り、登攀不可能と思われていた絶壁に挑戦します。

そして、家族の声援を受けた息子が絶壁を見事に登り切り、外の広い世界に旅立っていくシーンで物語は終わります。

このラストシーンは、希望に満ちあふれたものでした。

 

遠からず、被災地の方々が、希望に満ちた再生への力強い一歩を踏み出す日が訪れることを願ってやみません。

 

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第288回 KMF合同合奏練習                         平成28年4月30日

 

GW初日の昨日(29日)、神奈川マンドリンフェスティバル(KMF)恒例の合同合奏練習が「みどりアートパーク」リハーサル室で行われました。

 

神奈川県内各地から集合した約40名が、合同合奏曲・ヴェルキの「序曲ニ長調」に挑みました。指揮は我がアンサンブル青葉の指揮者、岩崎早苗です。

普段アンサンブル青葉は15名程の「アンサンブル」です。やはり大人数の合奏は音が太く、いつもの青葉のアンサンブルとは違った魅力が味わえました。

 

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本番の合同合奏ではこの倍近く、70名規模の大合奏になる予定です。ぜひご来場のうえ、大編成の迫力をお楽しみください。

 

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第289回 礼三息                                 平成28年5月7日

 

先日、久しぶりに母校の春のコンサートに行ってきました。

やはり卒業してン十年経つと、選曲や構成に自分の現役の時とだいぶ様変わりしています。

その中で一番変わったと感じるのは、殆ど曲ごとに指揮者とコンマス(コンミス)が変わり、その都度紹介されることです。

聞けば学年ごとにコンマス(コンミス)、そして指揮者も正副いる。しかも春は他の大学との合同演奏(ジョイント・コンサート)になっているので、当然紹介される人数は倍になる。なーるほど、これは仕方がありません。

 

さて、紹介されたコンマス(コンミス)・指揮者諸君は起立して一礼するわけですが、ここで経験の差というかが出てきます。

一般的には上級生になればなるほど落ち着いた礼になってきますが、中にはぎこちなく立ち上がり、硬い表情のまま礼をする人がいたりします。多分初めてで緊張しているのでしょう、彼ら彼女らの将来が楽しみです。

 

話は替わりますが、私たちは礼をするとき、どのような息遣いをしているのでしょう?

聴衆を前に深い丁寧なお辞儀をしたのは徳川夢声。お辞儀をしながら息を止め、苦しくなったところで、はじめて頭をあげたのだとか。私たちも、普段は息を止めて礼をしているのかもしれません。

 

しかし、もう一つの息遣いがあります。皆さんも次の礼を試してみてください。

 

@息を吸いながら上体を倒す。

A動きが止まったところで息を吐く。

B再び息を吸いながら上体を戻す。

(@の「息を吸いながら…」の「息を吸う」ためには、息を吐いておかなければなりません。まず息を吐いて、それから@の動作に移ってください。また、Bで上体を起こしたら、息を吐いてから次の動作に移ってください。)

 

ずいぶんゆっくりとした、落ち着いた礼だと感じませんか?

実はこれ、小笠原流の立礼です。小笠原流では、この「吸う」「吐く」「吸う」の息遣いを「礼三息」と呼んでいます。

 

この礼三息をすることで、「間」が生まれます。礼をしてすぐに頭があがってしまう、頭をあげた後すぐに次の動作に移ってしまう…いわゆる「間抜け」な動作を防いでくれます。

(そして、この「間」の取り方は、演奏の時にも役に立つのではないかと筆者は密かに思っているのですが)

 

コンマスの皆さん、指揮の皆さん、是非この「息三息」実践してみてください。

 

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第290回 小笠原流とダイエット                     平成28年5月14日

 

小笠原流の家元がテレビに出演した時のこと。家元をはじめスタッフ全員にお弁当が出されました。

家元は自らスタッフの輪の中に入って行き、和気藹々とお弁当を食べ始めましたが、そのあまりにもカジュアルな食べ方にお付きの方は肝を冷やしたとか。

 

のち、家元はこう述懐しています。

「もし私が作法を持ち込んでお弁当を食べたら、周りの人はきっと堅苦しくなって、楽しかるべき食事が台無しになってしまっていただろう。」

その場の状況に合わせて、あえて作法を省略するのも礼儀なのです。

 

「しかし、一つだけ礼を崩さなかった。それは箸先だよ。箸先の汚れは最小限にすることを心掛けた。」

「箸先五分、長くて一寸」といいます。箸先を汚すのはほんの少しだという教えです。

 

筆者は一度、きれいな箸づかいの人を見たことがあります。

東北地方の、土地の人が「山の神さま」と呼ぶ古いお社に参詣したときのことです。山の上の本殿にお参りした筆者は、休憩所で一息ついていました。

筆者の目の前にそのお社の神職の方がおられました。神職は蕎麦を召し上がっていたのですが、その振る舞いが折り目正しく、美しかったのです。姿勢が良いのはもちろん、蕎麦を食べるその所作に品がありました。

そして、箸づかい。まさに箸先五分だったのです。

 

そんなことを思い出して、少し箸づかいを見直してみました。

箸先の汚れを五分に留めるのは難しく、まず一寸を目標にしてみます。

すると、食べ物を口に運ぶとき、箸でつまむようになります。一遍にたくさんとることは出来ません。大きなおかずなども、小さくしてから口に運ぶことになります。

 

「何だか面倒くさいな〜」初めのうちはそう思いました。

特に昼食。社員食堂で食べることが多く、混むこともあって早食いになり、わずか5分で食べていました。

しかし、「箸先一寸」を目標にすると、一度にたくさん口に運ばなくなりますので、ご飯をかき込んだりせずゆっくり食べるようになります。良く噛んで味わうことができるようになりました。続けていくうちに食事がおいしく感じられるようになってきました。

 

そうだ、これはダイエットにもいいんじゃないか?

太らない食事の要諦は早食いをせず、良く噛んでゆっくり食べること。メタボ改善にもつながりそうです。

 

食べ方が落ち着き、食事がおいしくなり、ダイエットにもつながる「箸先五分、長くて一寸」。

今後も続けていきたいと思っています。

 

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第291回 第34回神奈川マンドリンフェスティバル開催!       平成28年5月21日

 

快晴の5月15日(日)、第34回神奈川マンドリンフェスティバル(KMF)が横浜市青葉区の青葉公会堂で開催されました。KMFが青葉区で開催されるのは初めてのことで、午後1時の開場時には約100名のお客様がお待ちになっているという盛況ぶりでした。

 

今回は出演順にアンサンブル青葉、チルコロ・マンドリーノ、アンサンブル・パストラーレ、相模原マンドリン倶楽部、わかばマンドリーノ、マンドリンアンサンブル・アマービレの6団体が参加。各団体の特色を生かしたステージが披露され、会場を魅了しました。

 

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開演挨拶をする

藤ア実行委員長

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演奏するアンサンブル青葉メンバー

曲目は田舎のまつり・ルトニア

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挨拶をする指揮者

岩崎早苗

 

KMF最後の合同合奏は、74名の大人数でヴェルキの「序曲ニ長調」です。

実はKMFは新しい組織・運営が必要とされており、今までの方式による開催は今回が最後です。

 

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総勢74名の大合奏

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KMF、しばしのお別れ。挨拶をする演奏者

 

KMF35年の最後の曲となった「序曲ニ長調」。曲想通り華やかな大合奏となり、万雷の拍手と共に有終の美を飾りました。*東日本大震災の年は開催延期となったためです。

 

 

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第292回 コンサート・ピッチ                       平成28年5月28日

 

チューニングはA=442Hzが一般的ですが、アンサンブル青葉ではA=440Hzが標準です。

今回のKMFでは合同合奏をすることから、A=442Hzで統一していました。

 

この、たった2Hzの差はどんなものでしょう?

筆者のチューナーで比較してみます(442でチューニングして440で計測する、又はその逆)と、だいたい34目盛りの差がありました。マンドリンの上下だったら合っていませんね。

しかし不思議なことに、A線を442D線を440でチューニングしてみると、音階等はそれほど違和感なく聞こえたのです。これは筆者が鈍感なせいなのでしょうが、激しい曲の後などではこの位チューニングが狂っていることは経験します。2Hz程度の差は、案外常時発生することであって、気にしなくてもいい…というと語弊がありますが、許容範囲の中なのかもしれません。

 

しかしピッチが違うと気付く方は無論多く、中にはいつもと違うピッチでは「気持ち悪く感じる」というプロの方すらいます。また、「高音域ではオケより少し高いピッチで、低音域では少し低いピッチで弾くことでソロを際立たせる」というソリストの方もいます。筆者はピッチ(狂い)にもう少し気を使った方がいいようです。

 

一般的にピッチが高くなると音に張りがでて音量が増すので大会場向き、反対に室内楽やバロックには不向きらしいです。

マンドリンやギターではピッチコントロールできる余地は少ないものですが、その場やその曲にあったピッチは、もう少し研究されてもいいのかもしれません。

 

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第293回 ちょっと息抜き                      平成28年6月4日

 

最近は電車の中でモニターが大流行りです。通勤通学時の混んだ車内で、一服の清涼剤となることもしばしばです。

さて、最近の動画でちょっと気になるのが、電鉄某社の動画。自社の取り組みについて流しています。

 

それは保守点検のシリーズ動画で、現在流れているのは架線の張り替えです。電車は架線からパンタグラフを通して電気を取り入れます。架線はパンタグラフとの接触で摩耗するため、それが一定限度に達したところで交換される、その場面を紹介した動画です。東京ローカルなので、あらすじを紹介します。

 

終電が終わった午前1時、作業員が歩いて現場に向かいます。すり減った古い架線を取り外し、新しい架線を設置していく。作業が終わるのは初電直前の午前5時。作業員たちが歩き去ったホームに、何事もなかったかのように初電がやってくる…という、鉄には堪えられない動画です。

 

さて、この動画のどこが気になっているのかというと、実はそのクレジット。

「短時間に架線を貼り替える」ということの解説に「熟練の目、精緻の技で電気の流れを守る。」と言っているですが、いかがでしょう?

熟練の目、精緻の技という言い方をするものかなあ?

 

手元にある国語辞典を引くと、「熟練…その仕事によく慣れていて上手なこと」「精緻…細かい点までに注意が行き届いていて、よく出来ている様子」とあります。特に間違いとは断定できません。

 

しかし、何か違和感が残ります。試みに「熟練」「精緻」を音楽評に使うと、こんな感じになるでしょうか。

「…この難曲を、演奏者は熟練の技で精緻に音を積み上げていき、見事に一編の音楽物語に紡ぎ出した。…」

筆者は「熟練」はその人の行為、「精緻」は行為の結果出来上がったもの(製品・作品)に繋がるのが自然だと考えてしまうので、違和感が残るのでしょう。

 

電車・線路の保守点検は、普段私たち利用者が目にすることはないものです。あまり細かいことには拘らず楽しんでいきますか。

 

 

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第294回 どきどき                         平成28年6月11日

 

物理の新元素が発見されました。第113番目の元素として「ニホニウム」と命名されることになりました。新元素発見の研究チームには、心からおめでとうを申し上げます。

 

筆者には、その新名称(案)の発表記者会見でグループディレクターの森田教授が語ったことが印象に残っています。森田教授らのグループは次の新元素発見に取り組み始めているといい、新元素発見はできるのか?との問いに、教授は「できると思います。新元素に近づいたとき、もうれつな『どきどき』感があります」と答えていました。

 

『どきどき』

いいですね。久しくこの『どきどき』感を忘れていたかのようです。

 

子供の頃、遠足へ出かけるときの『どきどき』。

何かプレゼントをもらった時の『どきどき』。

憧れのあの人と言葉を交わした時の『どきどき』。

新しいレコードに初めて針を落とす時の『どきどき』。

『どきどき』は、好奇心でもあり、喜びでもあり、人が成長し続ける大元なのかもしれません。

 

年を経るに従って手慣れてゆき、『どきどき』感は段々少なくなってきたようです。

でも、この森田教授の話を聞いていると、改めて、日々を新鮮に、『どきどき』を感じられるように過ごしていきたくなりました。朝晩の挨拶、食事への感謝、譜面を開いた時の思い。こうしたことが、『どきどき』を感じさせてくれると信じて。

 

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第295回 演奏会のお知らせ                        平成28年6月18日

 

 アンサンブル青葉は、「2016年定期演奏会」を下記要領にて開催いたします。

 皆さまのご来場を心からお待ちしております。

 

 と  き:2016(平成28)年11月19日(土)

     午後6時30分開場、午後7時開演予定

 

 ところ:みどりアートパーク(横浜市緑区民文化センター)

 

 交  通:東急田園都市線・JR横浜線・横浜高速鉄道こどもの国線 長津田駅下車、徒歩4分

     長津田駅北口直結

     ※駐車場はございません。公共交通機関でお越しください。

 

 演奏曲目:海の組曲(アマディ)、富士旅情(鈴木静一)、真珠採り(ビゼー)、グラナダ(アルベニス)他

 

入場無料

 

 今回、土曜日の開催です。晩秋のひととき、マンドリンの合奏をお楽しみください!

 

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第296回 パシフィック231                     平成28年6月25日

 

「300トンもの重量を持つ蒸気機関車がゆっくりと動き出し、加速してフルスピードになり、また停車する様子を表している」…スコアより。

 

<音楽的解説>

 

この曲はフランス6人組のひとり、アルティール・オネゲルによって1923年に作曲され、翌1924年に初演された。

作曲当初は「交響的断章」という題であったが、「ロマンチックな考えが浮かんだので(オネゲル)」本題に改名された。なお「交響的断章」は、のちに第2・第3楽章にあたる曲が作曲されている。

 

オネゲルは「他の人が女性や馬を愛するように、私は機関車を愛する」と公言するほどの機関車好きであった。

それだけに、この曲が単なる機関車の音の模倣とみなされることを嫌った。こう語っている。「この曲は視覚的印象や生理的な喜びを音楽に移そうとしたものである。それはまず正確な観察から始まる。」

「機関車は生き物である」というオネゲルは、機関車をまさに生き物として観察している。停車中の機関車の蒸気排出音を「息遣い」と聞き、発車前もうもうと煙を噴き上げ、重々しくドラフトを響かせる様を「動き出そうとする努力」などと捉えるなど、愛情を込めて観察している。そして発車後「次第に速度を増し、深夜をつんざいて時速120キロで疾走する機関車の壮烈さ」を見事に描き出している。

 

また、この曲にはaccelrit.などの指示は一切ない。そして、記譜上は曲の進行に伴ってテンポが落ちる(160 152 144 138 132 126)のだが、曲が(あるいは機関車の進行が)遅くなる印象はない。これはリズムが細かくなっているためで、逆に加速する印象を与えている。

実はこれこそオネゲルが意図したことであり、「私は、実は大変奏コラールを作曲した」とする作曲者の試みは見事に成功したといえよう。

 

<鉄的解説>

 

私たち鉄道ファン(テツ)には嬉しいタイトルです。テツならご存じのとおり、このタイトルは蒸気機関車の軸配置を表しています。

すなわち先輪2軸・動輪3軸・従輪1軸のテンダー機関車のことで、このタイプの機関車をアメリカではパシフィック、フランスでは231(に・さん・いち)型と呼び、主に旅客列車に用いられました。(日本では2C1といい、また国際的に4−6−2といういい方もします)

よく勘違いされますが「パシフィック型機関車の231号機」や「パシフィック社製231型機関車」ということではありません。

 

さて、この曲の解説にある「300トンもの重量を持つ機関車」ですが、これはいささか重すぎ・大きすぎます。

例えば、日本最大のSL、C62は約89トンです。ヨーロッパ大陸の機関車は日本のそれより大型ですが、それでもC62の3倍以上の重量がある機関車なんてあったのでしょうか?

 

筆者は当時ヨーロッパを走っていた機関車について知識がありませんので、この時代ヨーロッパ大陸と同じ規格で作られ、アジアで活躍した「パシナ」型と比較してみます。

「パシナ」型は2メートル径の動輪を持ったパシフィックで最高速度時速120キロ。しかしその総重量は約119トン。ヨーロッパでもそのあたりかと思います。恐らく「300トン」とは列車の総重量(索引される客車の重さの総和)のことでしょう。

 

総重量300トンの列車だと、編成量数は6〜7両位です。少し短いようですが、蒸気機関車は索引力に限界があります。時速120キロという高速で走るためには、引っ張る客車を軽く(=編成を短く)する必要があり、6〜7両という編成両数は妥当な所です。

 

この曲が作られた1920年代、ヨーロッパでは第1次世界大戦での混乱も収まり、大陸間国際列車が華やかに走り回っていたのでしょう。

日本でも、東京駅からシベリア鉄道経由パリまでの乗車券が発売されていました。このルートは当時ヨーロッパへの最速ルートで、船旅なら1カ月かかるところ、1週間で結んでいたのです。

さて、この曲は全曲で約7分です。鉄道旅行華やかりし頃を想像しながら、7分の汽車旅をお楽しみください。

 

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