アンサンブル青葉

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Members Voice Backnumber 9

 

 

第167回 年の初めの                              平成26年1月5日

 

新春、いかがお過ごしですか?

 

暮れは大掃除に大わらわでした。ここ数年開かずの間だった押入れを整理していたところ、中から大量の怪しげな紙片が…。

学生時代演奏した譜面の数々です。手書きの、そして今は懐かしい青焼きコピー。もう薄くなって読めなくなったものや、貼っていたテープが変質してバラバラになってしまったものなどあります。懐かしさのあまり引っ張り出し、片付けるはずがかえって散らかしたまま年明けを迎える羽目になってしまいました。

 

出てきた譜面は大多数がパート譜で、そのままでは青春の記念品にしかすぎませんが、フルパートのものがいくつかありました。

「ああ、これは…」母校の記念演奏会で披露した曲ではありませんか。

せっかくですから電子化することにしました。今は楽譜ソフトのおかげで、パート譜があればスコアは成ったようなものです。

スコアがあれば、多くの皆さんで演奏することができます。

 

新春の最初の仕事は、埋もれていた楽譜に日の目をあてることになりそうです。

 

(第166回は省略)

 

 

第168回 プレイバック Part 1                          平成26年1月11日

 

楽譜の作成は、今やほとんどの場合楽譜作成ソフトを使います。

手書きも味があっていいのですが、オタマジャクシやその他の記号の形が悪ければ見づらく間違いの元です。音が線の上にあるのか線の間にあるのか、はたまた小節間で音が余ったり足りなかったり…という事故はしょっちゅう起こります。楽譜作成ソフトは、そうした間違いをさりげなく…訂正を促してくれます。

 

また多くのソフトには「プレイバック機能」がついており、入力した楽譜を演奏することができます。これにより、入力ミスのないことを確認したり、作・編曲される方は即その曲を聴くことができるのです。

そして、このプレイバック機能には楽器の音源がついており、いろいろな楽器での疑似演奏を楽しむことができるのです。

 

さて、筆者の使っているソフトには、どんな楽器(の音源)があるのかな?

見てみてびっくり。実に様々な楽器が登録されています。

 

まず、普通のオーケストラの楽器、鍵盤楽器ではピアノ、オルガン、ハープシコード、その他。

マンドリン関係は「撥弦楽器」というジャンルにあります。

このジャンルにはマンドリンのほか、ギター(クラッシックギター、アコースティックギター、エレキギターその他)、バンジョー、ウクレレ、三味線、三糸、月琴…その他初めて聞く様々な楽器名があります。

例えば、ツィター、ダルシマー、ンゴニ、タンブーラ。

聞いたことはありますか?

 

「ツィター(チター)」はドイツ南部・オーストリアの民族楽器。ワルツ「ウィーンの森の物語」のソロや映画「第三の男」のテーマで使われ、有名です。

「ダルシマー」はこのツィター属で、ツィターが指で弦を弾くのに対し、ピアノのようにハンマーで弦を叩くものです。

「ンゴニ」はアフリカ西部の弦楽器。アメリカに持ち込まれバンジョーの原型になったと言われています。

「タンブーラ」はインドの弦楽器で、4弦を指ではじいて弾きます。インド古典音楽の伴奏楽器として欠かせないものです。

この他木管・金管・打楽器・パーカッションなどのジャンルがあり、それぞれに実に多彩な楽器名が登録されています。

 

いや〜世界には実にたくさんの楽器があるのに改めて気付かされた一日です。

いつかこれら演奏を聴いてみたいと思います。

 

 

 

第169回 プレイバック Part 2                         平成26年1月18日

 

電子化するのはMozartDivertimento in D。母校のクラブ創立35周年で演奏された、思い出深い曲です。

後世に残る(?)ことも考え、間違いのないようにしないといけません。発見したパート譜を基に、オーケストラ譜も参考にしながら入力していきます。

今回少々面食らったのは装飾音符の書き方に違いがあることで、演奏した結果としては同じ弾き方になるのですが、記譜としてどちらを採用したらいいのか迷いました。

 

さて、出来上がった譜面を校正する最も手軽な方法が、プレイバックです。プイバックして少しでも違和感があるところをマークし、原譜・参考譜とよく見比べて違和感を解消していきます。

 

こうして何度もDivertimentoを聞いているうち、やはりMozartは天才だぁ!とすっかり感心してしまいました。

プレイバックすると、音楽と楽譜が同時に走るので、今聞こえる音の構成がよくわかります。今までは1stだ、と思っていた旋律が実は2ndだったり、各パートが実に巧みな掛け合いをしていたりと、スコアを眺めていただけではわからなかった構成が、まさに手に取るようにわかるのです。標準でわずか12分程度の曲なのに、内容はぎっしり。しかもそれを少しも感じさせない曲なのですね。

出来ればこの譜面を使って、軽やかに爽やかに演奏してみたい、と思う今日この頃です。

 

 

 

第170回 ディベルティメント                         平成26年1月25日

 

さて、「ディベルティメント」とは一体どういう意味があるのでしょうか?ちょっとネットで調べてみました。

 

ディベルティメント(Divertimento)は、18世紀中頃現れた器楽楽曲です。語源はイタリア語の「divertire」であり、「楽しい、面白い、気晴らし」という意味があります。そしてその通り、明るく軽妙で楽しく、暗い雰囲気を避けた曲です。もとは貴族の食卓・娯楽・社交・祝賀などの席で奏されたものなので、室内楽です。

19世紀にいったん廃れたものの20世紀になって復活し、多くの作品が残されています。日本語では喜遊曲(嬉遊曲)と訳されています。

 

Mozartがこの曲(Divertimento in D, K136)を作曲したのは1772年。

当時のMozartは、イタリア旅行から戻り故郷ザルツブルクで作曲に耽っていた時期でした。このためイタリアでの影響が強く反映されている曲であると言われています。

実は、このときMozartはなんと16歳。「君よ知るや南の国」ではありませんが、青年Mozart南の国イタリアに強く憧れを抱いていたとしたとしても不思議ではありません。そして、第1楽章のあの冒頭は、青い空、明るい太陽、確かにイタリアのイメージです。

この曲、譜面づらは一見単純に見えます。しかし実際弾いてみますと、16分音符の流れるような旋律や各パートの掛け合いなどが至る所にあり、合わせるには結構大変そう…。いかんいかん、しかめっ面は練習中でもこの曲にふさわしくありません。笑顔を絶やさず、イメージを損なわないように、明るく軽快に演奏したいものです。

 

 

第171回 装飾音符                                 平成26年2月1日

 

装飾音符があったらどう弾きますか?

まず一般的には、主音符のアウフタクトでとると思います。

「…前の音符または前の休止符からそのタイムだけ借用します(オデルマンドリン教本・宮田信義編p69

 

しかし子供の頃のピアノの先生は、装飾音符を拍の頭に入れていたよな〜?

ピアノは右手がメロディ、左手は伴奏です。左手は8分のアルペジオで弾くことが多かったのですが、装飾音符を第1拍の頭に、主音符を第1拍の裏に合わせるよう指導されたっけ。

 

なぜこんなことを書くのかといいますと、ディべルティメントではこの装飾音符の書き方が版によってまちまちで、譜面を入力しつつどう解釈したらいいか迷っていたからです。

一例をあげます。

 

譜例1

譜例2

 

少し見づらいですが、例示の譜面は、異なる版元の第2楽章Andanteの同じ個所です。譜例1では16分音符二つ、譜例2では装飾音符+8分音符で書いてあります。「装飾音符をアウフタクトにとる」やり方では全く違う曲になってしまうはずです。

 

そんなはずはない、と徒然なるままに書籍を紐解いているうち、どうやら解答が見えてきました。

それは、譜例2に挙げた書式は「古い書式」だということです。

古い書式(譜例2)では、装飾音符に書かれた音符は、そのままの長さで演奏しなくてはなりません。結果として、譜例1のとおり弾くことになるのです。

 

ではなぜ2個の16分音符で書けるものをわざわざ装飾音符にしたのでしょうか。

これは「目的の音は8分音符であることをはっきり示す」という効用があり、演奏者もそれ(目的の音)を自覚しつつ演奏することが要請されているからなのです。

従ってディべルティメントの装飾音符は拍の頭でとり、現代風にアウフタクトで演奏してはならない、ということになります。

 

ところで、現代では装飾音符はアウフタクトでとることが当たり前…。古典になればなるほど拍の頭で、現代曲になればなるほどアウフタクトでとることになるわけで、この区切りはどの辺なのでしょう。

 

ひとつの基準がロマン派のようです。ロマン派以前の作品は装飾音符を拍の頭でとり、以後の作品はアウフタクトでとるようです。ロマン派といえば、19世紀のヨーロッパ音楽。シューマン・ショパン等が筆頭に挙げられましょう。

私たちが弾いている近代マンドリンの発達は、19世紀以降のことです。従って、所謂マンドリンオリジナル曲はアウフタクトでとっていいかと思いますが、それ以前の曲(モーツアルト、バッハなど)を弾く時は、要注意のようです。

 

参考文献:岩波新書「音楽の基礎」芥川也寸志

 

 

 

第172回 ディべルティメント余話                           平成26年2月8日

 

立春も過ぎたというのに東京は大雪です。もっとも旧暦ではまだ大寒の頃、この位の雪が降るのもいいかもしれません。

さて、ディべルティメントについてネット探索していると、いろいろ話題がでてきました。大雪の日の小話にご覧ください。

 

イタリアへのあこがれ?

モーツアルトはこの曲(K136)の作曲前、イタリアへ二度目の旅行をしています。それゆえ、この曲にはイタリアの影響が色濃く反映されているといわれています。

この曲が作曲されたのは1772年の1〜3月頃。今から242年前の、ちょうど今頃です。

モーツアルトも、窓の外の雪景色を見ながらイタリアの風景を想っていたのでしょうか。

 

この曲はディべルティメントではない?

一般的なディべルティメントは、小規模な編成で、短い6曲程度で構成されます。

本曲は弦楽四重奏であり、メヌエット楽章がないことから、実はモーツアルト自身は「ディべルティメント」と呼んでいませんでした。誰かがモーツアルトの自筆譜に「ディべルティメント」と書き加えたものなのです。

しかしモーツアルトのディべルティメントの中では本曲が一番有名なのですから、これは大正解!というべきなのでしょう。

 

弦楽四重奏曲ではない?

先ほど「本曲は弦楽四重奏…」と書きましたが、実はそうとは言い切れないのです。

モーツアルトの自筆譜には、楽器の指定として「第1・第2バイオリン、ビオラ、Basso」とあるだけで、各パートの人数(1人なのか複数なのか)やBassoが具体的に何の楽器かが指定されておらず、度々論争がされてきました。

特にBassoとはモーツアルトの当時は低音楽器一般を指していたので、チェロのほかコントラバスや管楽器の可能性も否定できなかったのがその原因のようです。

今日では「Bassoはチェロと推定される。従って、本曲は各パート1人の弦楽四重奏曲として作曲されたもの」と結論付けられていますが、もちろんコントラバスを加えた弦楽合奏として演奏されることも珍しくありません。様々な楽器で楽しんでいいのではないでしょうか。

そして、今回ギターを加えたマンドリン合奏曲として生まれ変わり、私たちにも楽しめるようになったのです。

 

 

 

173 テーマソング                            平成26年2月15日

 

唐突ですが、クイズです。次の歌に共通する事柄はなんでしょう?

ゆず「栄光の架け橋」、平原綾香「誓い」、Mr.ChildrenGIFT」、ラルク アン シェル「BLESS」、いきものがかり「風が吹いている

 

そうです、これはNHKオリンピック報道のテーマソングです。

今開催中のソチオリンピックのそれは、コブクロ「今咲き誇る花たちよ」。

金メダル獲得の羽生選手をはじめ、日本選手団の活躍が大きな花を咲かせています。

 

最近は大きなイベントがあると、そのテーマソングを既存の曲から決めていますが、かつてはイベント毎にテーマ曲が作られていました。

 

1964年の東京オリンピック。メインテーマは「東京五輪音頭」。

「音頭」というあたりに時代を感じますが、作詞 富田隆、作曲 古賀政男の大御所二人。

三波春男、橋幸雄、三橋美智也、坂本九等などが歌いましたが、一番有名なのは三波春男でしょう。

「♪あの日ローマで見た月が…」とは、当時の誰もが歌ったのでしょう。

 

そしてもう1曲、「海をこえて友よ来たれ(作詞:土井一郎、作曲:飯田三郎)」、この曲と「東京オリンピックの歌『この日のために』」のどちらかは当時小学校以上で必ず教えられたとか?つい先日、総理大臣が招致スピーチの中でその一節を披露していましたっけ。

 

しかし東京五輪のことは、まだ幼児だった筆者は残念ながらあまり憶えていません。

それよりは、1972年の札幌オリンピックの方が印象的でした。

特に日の丸飛行隊と言われた笠谷・金野・青地3選手のメダル独占は誇らしかったです。

 

その札幌オリンピックのテーマ曲は「虹と雪のバラード(作詞:河邨文一郎、作曲:村井邦彦)」、歌は何といってもトワ・エ・モアでしょう。

この曲は開会式で歌われただけでなく、競技終了後帰国する選手が、それぞれの国の言葉に翻訳して帰って行った、というニュースを見た覚えがあります。

いまこの瞬間に、世界のどこか片隅で、この曲が歌われているのかもしれません。

歌は、音楽は残っていくのですね。

 

さて来るべき2020年のオリンピック。私たちはどんな歌を聴き、残していくのでしょうか。

 

 

 

第174回 赤い風船                              平成26年2月22日

 

先週・先々週と関東甲信越地方は大雪に見舞われました。幸い3週連続の雪は免れましたが、まだ多くの方々が大きな影響を被っています。心よりお見舞い申し上げます。

 

雪に閉ざされると、そこから何とか脱け出したくなります。

まして2月ももうすぐ終わり、春の足音が近づいてきているのですから。

 

こんな時ふと口をついて出た歌が、「遠い世界に(作詞・作曲:西岡たかし、歌:五つの赤い風船)」。

 

♪遠い世界に旅に出ようか それとも赤い風船に乗って 空の上を歩いてみようか♪

 

本当に風船に乗ってふわりと空を飛べたら、どんなにいいことでしょう。

 

現代は身軽に風船に乗って空を飛ぶことは、なかなか難しいようです。

今日こんなことをやろうと思ったら、風船には人間のほか記録用ビデオ・カメラ・GPSに無線機、さらに携帯・スマホ・タブレット、それにそれぞれの電源がつき、その他安全装置だなんだかんだと人間よりはるかに重い荷物を積み込みそうです。風船もふわりとは浮き上がらないのでは?

 

いやいや、ここはこの歌が発表された1967(昭和42)年に戻りましょう。余分な荷物は置いて、身一つで軽やかに風船に乗りたいものです。

 

 

 

第175回 介護施設で演奏しました                          平成26年3月1日

 

 

快晴の先週23日、アンサンブル青葉メンバーがボランティア演奏を行いました。

訪問先は大田区の介護施設「ライフ蒲田」。ライフ系列の他の施設で演奏をしたことがあり、「ぜひ蒲田の施設でも!」とお誘いいただきました。

入居者のお年寄りは47人。皆さんが楽しく歌っていただけるよう選曲には配慮しましたが、「みかんの花咲く丘」「青い山脈」そして「ふるさと」では特に歌声が大きくなりました。

歌のほか、「津軽海峡・冬景色」「碧空」とギター独奏曲「マリア・ルイサ」を聴いていただきました。

 

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第176回 冬休みの宿題                              平成26年3月8日

 

第163回で宿題として基礎練習を自分に課しました。

決して十分な練習ではありませんでしたが、久しぶりに取り組んだ教則本。いろいろと得るものがありました。その中で2点ほどご参考に供したいと思います。

 

1.ポジション

学生の時、初めて教わったのは開放弦から始まるDO−Re−Miでした。普通これから2オクターブのハ長調の音階を教わります。この開放弦を使用するポジションが第1ポジションです。

ところで第1ポジションだけでは、各弦ともせいぜい第5フレットまでしか使いません。あとは1弦・2弦の高音部を、「何となく」使っていただけのような気がします。

高音部にも決まった運指があるはず…それがハイポジションです。

 

マンドリンの場合、第3フレットを基本にするものが第2ポジション、第5フレット基本が第3ポジション。以下第7フレットで第4ポジション、第9フレットで第5ポジション、第10フレットが第6ポジション、第12フレットの第7ポジションまであります。

その中で、第3ポジションが特に重要とされています(Odellマンドリン教則本)。

一方マンドセロ。教則本はない(筆者は知らない)ので、Wernerを見ています。第1ポジションの後触れられているのが第4ポジションなので、セロでは第4ポジションのほうが大切なようです。

 

各ポジションでの運指を十分に研究することで、演奏の幅が広がります。また、普段殆ど使わない3弦・4弦の高音部で音を出すことは、楽器のためにもいいことだと思います。

 

2.半音階(クロマティック)

オーケストラ編曲の曲などで、クロマティックで上昇・下降する旋律は頻繁に出てきます。この時、指の動かし方が解らないとすぐに詰まってしまいます。

Odellには、このクロマティックの運指が3例解説されています(ト長調・第1ポジションでの例…試してみてください)。

 

実音 G--A--H-C--D--E-F--G--A--H-C--D--E- F--G

G線 0-1-1-2-2-3-3-0-1-1-2-2-3-3-0-1-1-2-2-3-3-0-1-1-2 E線

G線 0-1-1-2-2-3-4-0-1-1-2-2-3-4-0-1-1-2-2-3-4-0-1-1-2 E線

G線 0-1-2-1-2-3-4-0-1-2-1-2-3-4-0-1-2-1-2-3-4-0-1-2-3 E線

 

見ていて気付くのは、単純に指4本で順にフレットを押さえるのではないということと、同じ弦だけで上昇(下降)するのではなくそのポジションで移弦することです。

 

いや〜こんな基本的なことに今更気がつくなんて、汗顔の至りです。

これまで「何となく…」やってきたことを見なおす、いい機会になりました。

 

 

 

第177回 鳥の人たち                           平成26年3月15日

 

新しく結成されたマンドリンアンサンブル「ユーフォリア(EUPHORIA)」を聴きました。メンバーの平均年齢は30歳前後の若い方々。CD発売を記念してのミニコンサートです。

演奏曲目はCDの中から5曲ほど。クラッシックアレンジ1曲・指揮者(代表者)の自作曲3曲のほか、アニメ「風の谷のナウシカ」エンディングテーマ曲「鳥の人」が披露されました。

 

「え〜っ、アニメの曲?」「ジブリの曲なら、聞きやすいし無難かな?」などと思われるでしょう。でも、この曲を演奏したのは、それだけではないのかもしれません。

 

アニメの主題歌というと、筆者には、サザエさんやらドラえもんやら、ルパン3世(初回版)やらが浮かんできます。かつてのアニメ主題歌といえば、キャラクターをイメージした可愛らしい曲が殆どでした。

 

しかし今やアニメの主題曲、ことに劇場版などでは、アニメを離れた一個の音楽として演奏・鑑賞できる曲が多くなっています。それが1980年代位からでしょうか。そして「風の谷のナウシカ」の劇場公開は今から30年前の1984年。ユーフォリアメンバーが生まれた頃と、ちょうど重なります。

 

彼らが「風の谷のナウシカ」を初めて見たのは、きっと幼稚園か小学校の頃でしょう。アニメを見ながら優れた音楽に知らずしらずのうちに慣れ親しみ、そして音楽家を志していったのかもしれません。

今回のデビューにあたり、そのきっかけとなった「鳥の人」を、演奏したかったのではないでしょうか。

「鳥の人」そのままに、大きく羽ばたいていってもらいたいものです。

 

 

 

第178回 パソコン                              平成26年3月22日

 

4月から変わるものとして、消費税がありますね。

そして4月9日にはパソコンの基本ソフト、「ウインドウズXP」のサポートが無くなります。

サポート終了後も国内で使用継続されるXPマシンは700万台に上るとの推計もあります。ウイルス等への感染の危険が高まるとして、対策に大わらわのようです。

 

楽器を弾いている身には、パソコンの世界の変わり身の早さ(?)には目を見張るばかりです。

なにせ、私たちが普段弾いている楽器は、もう100年以上前から同じ形・構造であり、それこそ古の人たちと同じ楽器を弾いているのですから。

 

しかし、今やパソコンとネットの世界は、私たちの日常に深く係わってきています。

こうしてHPでお目にかかれるのをはじめとして、メンバーへの練習会場のお知らせ等の連絡、ユーチューブなど動画投稿サイトでの検索と鑑賞、フェイスブックやツイッターなどのSNSでの交流、あるいは楽譜の浄書と配布など、実に様々なことに活用されています。無関心ではいられません。

 

かく言う筆者のパソコンはVistaです。これももう7・8、8.1ときている事を考えれば、いつサポート終了の憂き目にあうかわかりません。そろそろ真剣に買い替えを検討しなくては…。

 

 

 

第179回 卒業の歌                              平成26年3月29日

 

弥生3月は卒業式の時でもあります。

卒業式には歌がつきもの。皆さんは、卒業式でどんな歌をうたいましたか?

 

今日の朝日新聞「be」に、「心に残る卒業の歌」ランキングが掲載されていました。

順位を引用させていただくと、

 

10位 卒業 (尾崎豊)

9位 YELL

8位 旅立ちの日に

7位 手紙〜拝啓十五の君へ

6位 さくら(森山 直太郎)

5位 翼をください

4位 卒業写真

3位 贈る言葉

2位 蛍の光

1位 仰げば尊し

 

皆さんの記憶にある歌も、ない歌もきっとありますね。

筆者の場合は、やはり「仰げば尊し」です。

なにせ、筆者が卒業してから例えば「贈る言葉」のような歌がでてきたのですから。

 

時代の流れと共に、「仰げば尊し」のような文語調の歌は避けられ、「贈る言葉」「さくら」そして「旅立ちの日に」のような曲が好まれてきているようです。

 

今咲き誇る桜と共に、新しい学校へ、社会へと旅立つ若い人たちの心に、卒業の歌は残っていくことでしょう。

 

追記

 

上記の曲中で4位・5位にランクされている「卒業写真」「翼をください」を歌った山本俊彦さんが逝去されました。

山本さんはフォークグループ「赤い鳥」のメンバーとして「翼をください」を、「赤い鳥」解散後は「ハイ・ファイ・セット」のメンバーとして「卒業写真」をカヴァーされました。

謹んでご冥福をお祈りします。

 

 

 

第180回 スケール(その1)                          平成26年4月5日

 

春4月になりました。Members Voiceもまた新たな気持ちでスタートします。よろしくお願いします。

 

さて、楽器をはじめる時・歌を歌うとき、もっと言えば音楽をはじめる時に最初に習うのがドレミの音階です。

筆者が初めてマンドリンを持った時、G線のDOからはじめてE線のDOまで、ハ長調で2オクターブのDO−RE−MI(スケール)を習いました。このスケールは最も基本となる大切なものです。

 

しかし、実際の曲では、ハ長調の曲はめったに出て来ません。マンドリン関係では♯系のト長調・ニ長調の頻度が高いように思います。当然、それらの調での音階があります。

 

ではハ長調以外の運指は?

モーツアルトに習い、「♯♭は3つまで」を示すと次のようになるようです。

(参考:Odellマンドリン教本第3部。第1ポジション、開放弦=0)使用)

 

ト長調  G線 0−1−2−3−0−1−2−3−0−1−2−3−0−1−2 E線

ニ長調  D線 0−1−2−3−0−1−2−3−0−1−2−1−2−3−4 E線

イ長調  G線 1−2−3−0−1−2−3−0−1−2−3−0−1−2−3 E線

ヘ長調  D線 2−3−0−1−2−3−0−1−2−1−2−1−2−3−4 E線

変ロ長調 G線 2−3−0−1−2−3−0−1−2−3−4−1−2−3−4 E線

変ホ長調 D線 1−2−3−4−1−2−3−4−1−2−3−1−2−3−4 E線

 

見ていて気付くのは、最高音を小指(4)で押さえるよう、その手前でポジションが変わっていることです。

 

なお、Odellには4ポジション(pos.)を使ったホ長調、同じく5pos.のヘ長調、6pos.でのト長調、7pos.でのイ長調の例も紹介されています。

筆者も試してみましたが、7ポジション等は楽器の構え方も変えないといけないし、何よりフレットが狭すぎて筆者の指には余り、上手く押さえられませんでした。興味がある方はOdellマンドリン教本第3部をご覧ください。

 

さて、これはマンドリンでの運指です。マンドラはこの運指で出来るでしょうが、楽器が大きくなるマンドセロでは違う運指が必要になります。次回ご紹介します。

 

 

 

第181回 スケール(その2)                        平成26年4月12日

 

今回はマンドセロのスケールです。

マンドリンと違い、マンドセロでは楽器が大きくなりますので、1フレットに1指を充てるのを基本とします。例えばマンドリンでは第5フレットは中指(3)で押さえますが、マンドセロでは小指(4)で押さえます(第1ポジション)。

 

ところで、筆者は残念ながらマンドセロの教則本を知りません。学生時代に一度見かけたことはありますが、内容が印象に残っていません。いくつかの楽器屋さんを探しましたが見当たりませんでした。

 

そこでお勧めするのがVioloncello教則本の定番、Wernerです。

WernerによるCelloのスケールは次のとおりです。(♯♭3つまでを記載、開放弦=0を使用)

 

ト長調  G線 0−1−3−4−0−1−3−4−0−1−2−4−1−3−4 A

ニ長調  C線 1−2−4−0−1−2−4−0−1−3−4−0−1−3−4 A

イ長調  G線 1−2−4−0−1−2−4−0−1−3−4−1−2−4−3 A

ヘ長調  C線 4−0−1−2−4−0−1−2−4−0−1−2−1−3−4 A

変ロ長調 G線 2−4−0−1−2−4−0−1−2−1−2−4−1−2−3 A

変ホ長調 C線 2−4−0−1−2−4−0−1−2−1−2−4−1−3−4 A

(第3ポジション)

 

WernerはあくまでVioloncelloの教則本なので掲載曲はボーイングを前提としており、マンドセロで弾いていると曲によっては違和感を覚えるかもしれません(その点、Odellはまさに撥弦楽器ならではの曲が集まっています)。

しかし、マンドリンオーケストラでクラッシックアレンジ曲を演奏することは多いですし、スケール・ポジションのような基本的な事柄は変わらないと思います。何より定番の教則本として大いに活用したいものです。

 

 

 

第182回 Lady in the Red                         平成26年4月19日

 

海外の歌を、原詩と日本語訳詩とを聴き比べて楽しんでいます。

 

例えば、愛唱歌「庭の千草」

「庭の千草も 虫の音も」で始まるこの曲、もの悲しさを感じる秋の景色を歌い、すっかり日本の歌のように感じます。

しかし、原曲はアイルランド民謡の” The Last Rose of Summer “で、歌い出しも‘Tis the rose of summer, Left blooming along; “、千草ではなくバラなのです。

これは、翻訳当時日本ではまだバラが一般的ではなく、より日本の風物に合う千草とした、という解説を読んだことがあります。

1884年の文部省唱歌、里見義の名訳といえるでしょう。

 

シャンソンの名曲、「愛の賛歌」

わが国では岩谷時子の訳詞で知られ、越路吹雪をはじめ多くの歌手がカヴァーしました。

原曲はHymne à l’amour。シャンソン歌手のÉdith Piafが、急逝した恋人を偲んで自ら作詞したものといわれています。

そして、その歌詞には直訳するとかなり強烈な表現が含まれていて、日本人にはやや馴染まないかもしれません。

(筆者はフランス語には全く疎いのですが、「あなたがいてくれたら、私は何でもする。国さえ裏切ってもいい」という件があるそうです。この歌が発表されたのは1950年。まだ戦争が終わってから何年も経っていなかったことを思えば、強烈な表現といえるのではないでしょうか)

これはPiafの原詩に日本語という着物を着せることによって、より大きく成功したものといえるかもしれません。

 

Chris de Burgh”Lady in the Red”

タイトルは直訳すると「赤いドレスの(ひと)」位の意味なのですが、曲中では”The Lady in the Red“と定冠詞のtheがつくのです。ただの女性(Lady)ではなく、特定の女性(The Lady)のことであり、その女性とは、最後にMy Ladyと歌われます。

歌い手の、The Ladyに対する、切ない位の愛情を感じるのですが、日本語でこの感情をうまく表すのは、難しいですね。そもそも日本の男性はこうした濃やかな愛情表現は苦手ですし…。この曲は、原曲の方が好きです。

 

 

 

第183回 日本の歌                            平成26年4月26日

 

前回と反対に、日本の歌が外国で歌われる時は、どうなのでしょう。

 

早速ネットや本を探すと、結構な曲がカヴァーされていました。そのさわりをいくつかご紹介しましょう。

元歌のタイトルやアーティスト名はあえて出しません。日本語の微妙なニュアンスや言い回しが、外国語ではどのように表現されているのでしょうか、ぜひ感じてみてください。

 

1曲目。人気グループの大ヒット曲です。

 

I am timid, and lost in the wind  The shadow of that day passes me by

The truth is, I have a past of easily crying  More than it would appear

Fresh water, flowing without stopping  A devilish fire that burn without disappearing

There won’t be a summer again  Where I’ll meet a girl that I love that much…

 

2曲目。今や卒業式の定番

 

I promise you I’ll be waiting for you  Till the day that I can see you  Once again

You see the cherry blossoms blooming all around  It’s time for us to say goodbye…

 

3曲目。今は小学校で習います。

 

If now, I could great my wish  I’d wish no have those wings

Those wings just like the birds  That fly up in the air

So high up in the air  Wish feathers bright and fair

Nor Wealth nor power can make  My heart filled wish such joy…

 

4曲目。世のおじさま方のテーマソング?

 

Even if the name  Of the stars strewn about

By the raging wind  Are forgotten

With no one to pass down their story…

 

 

 

第184回 江戸町散歩                              平成26年5月3日

 

GW後半の4連休に差し掛かりました。

お天気もよく、お出かけ日和です。さて、どこへ行こうかな?

 

そこで引っ張り出したのが「もち歩き 江戸東京散歩(人文社刊 ISBN978−4−7959−1295−3)」という本。

これは江戸市中の絵図面(江戸切絵図)と現代の同じ箇所の地図を並べてあり、江戸時代の有名な場所が現代ではどこになるのかが一目でわかるという、なかなか面白い本です。

 

例えば、忠臣蔵の敵役・吉良上野介の屋敷は、本所松坂町です。現代では墨田区両国3丁目、本所松坂公園あたりになります。

具体的にはJR両国駅の南・徒歩数分のところで、付近には回向院(旧国技館)があります。

両国?両国は、学生時代に演奏会直前の強化練習に通っていたところではないですか。忠臣蔵の舞台がそんな近くだったとは…。

 

さて、本懐を遂げた赤穂浪士の一隊は、泉岳寺への墓参の後、時の大目付・仙石伯耆守の屋敷へ出頭します。この仙石邸のあったあたりが今の港区虎ノ門2丁目で、日本消防会館(ニッショホール)になっています。

ニッショホール?筆者が出勤前の一駅ウォーキングで、毎朝その前を通っているところではありませんか。毎朝何気なく通っている道が、忠臣蔵にゆかりの地だったとは…。これはもう堪えられません。

 

これはほんの一例です。探せばまだまだ面白いところがいっぱいあります。

ちょっと音楽を離れて、江戸町情緒を楽しんできます。

 

前回の曲名です。順にTSUNAMISAKURA、翼をください、ヘッドライト・テールライト

 

 

第185回 心豊かに                                平成26年5月10日

 

先日、母校の演奏会に行きました。

開演2時間前にOB会役員として楽屋を訪問したのですが、顔見知りの学生さんがとてもとても緊張していました。聞くと、「今度初めてトップ席に座るので、普段より余計に緊張しています」とのこと。

「そんな時は普段より指揮を見て頑張れ!」と激励しましたが、内心『自分がトップ席に座った時は、もっと図太くしていたよな〜』などと思っていたのです。

 

ところがその翌日、ラジオでピアニストのフジコ・ヘミングさんのインタビューを聴いて、少し考えさせられました。

ひとしきり話をする中で、インタビュアーが演奏会はどうですか?と聞いた時のこと、ヘミングさんは「怖いです」と言下に答えたのです。何が怖いのだろう?

 

ヘミングさんは「曲が止まるのが怖い」と続けました。ふと曲を忘れてしまって、演奏が止まってしまうことがある(かもしれない)、それを怖れるというのです。

ヘミングさんほどキャリアがあり、コンサートやリサイタルを重ねてきた人であっても、いや、キャリアを積んできたからこそ、何が起こるか分からない演奏会を「怖れる」のでしょう。

 

演奏会では「図太かった」自分。それは演奏会「慣れ」しているということでもありましたが、「慣れる」ということは錯覚にすぎないのかもしれません。これからはもっと謙虚に臨まなくては、と思うようになりました。

 

ところで、ヘミングさんは「怖さ」をどうして克服していのでしょう。

「曲が止まるのは、脳(思考)が停止するから」というヘミングさん、演奏会前には脳に悪影響を与える刺激物を一切採らないことにしているとか。つまり、酒・煙草・コーヒーなどはご法度。パソコン・携帯(ヘミングさんはファクシミリといっていましたが)なども「脳を混乱させるから」と触らない。

替わりに1時間程度の散歩をする。散歩で足を動かすことで、自然に脳も動くようになってくれるのだそうです。

 

そんなヘミングさんの一番好きな時は、自室で好きな曲を弾く時だといいます。

夜、静かなアパルトメントで鍵盤に向かうヘミングさん、たゆたうピアノの調べ…聞き手は愛猫。なんとも心豊かな時間がゆったりと過ぎていくようです。

 

 

 

第186回 新しい音名                            平成26年5月17日

 

こんな言葉をご存じですか?

 

Des Def D Dif Dis

 

ドイツ語の定冠詞の変化にも見えますが、これは?

これは四分音のドイツ語名です。

 

音階の最小の単位は半音ですが、四分音(しぶおん)とはその半音をさらに半分にしたものです。現代音楽などで使われています。今まで正式な音名がありませんでしたが、ついにドイツ語での音名が命名されたのです。

 

半音のさらに半分の四分音を用いた音楽とは、どのようなものなのでしょう?

ネット等で調べてみますと、現代音楽のほか、中近東諸国の伝統音楽で用いられているそうです。

 

面白そうな話ですが、この四分音、残念ながら私たちが弾くマンドリンやギターでは弾けません。今のところ、声楽やバイオリン属などフレットのない弦楽器・管楽器に限られます。

また、四分音に対応した楽器…マンドリンやギターを想像してみます。単純に考えて1オクターブでフレットが12個増えることになります。マンドリンの高音部などはフレットだらけになってしまいそうです。

 

こう考えると、プレクトラム音楽の世界で四分音が使われる可能性は低そうですが、実はこれが新しい音楽の発展を促すものと期待する識者もおられるのです。

それは「音程(ピッチ)」にかかわることなのですが、これまで音程の最小単位は半音でした。

それが四分音になることで、今より一層正確な音程を得る尺度を持つことができるようになるのではないか、それはより美しいハーモニーにつながる、というものです。

 

ややこしい話に聞こえるかもしれません。しかし音程を揃えるということは、良い演奏をするために大切なことです。

四分音は、これまで「フレットの狂い?」位に捉えられてきた差なのかもしれません。その差を、弾き方や弦の押さえ方を工夫して埋めるようにできるようになれば、私たちの演奏もより素晴しいと言われるものになるのかも…しれませんよ。

 

 

 

 

 

第187回 神奈川マンドリンフェスティバルに出演しました            平成26年5月24日

 

快晴となった5月18日、第32回神奈川マンドリンフェスティバル(KMF)が横浜市栄公会堂にて開催されました。

今年も県内各地から10団体が参加、合同演奏と合わせて11ステージが披露されました。

 

アンサンブル青葉は4番目に出場。「マンドリナータ」「シューベルトのセレナーデ」「山吹く風」、そして昨年ブレイクしたNHK朝ドラ「あまちゃん」のテーマの4曲を演奏し好評を博しました。

 

今年のKMF、参加団体数は少なくなったのですが、その分演奏時間が長くとれ、各団体の持ち味を聞き比べることができるいい機会となったようです。また来年もお目にかかれることを楽しみに、無事閉幕しました。

 

 

 

第188回 移調楽器の話                           平成26年5月31日

 

「移調楽器(いちょうがっき)」とは、記譜された音と実音が異なる楽器のことです。

例えば、マンドリン合奏でもよく登場するクラリネット。クラリネット(B)は、普通にDoの指使いをすると変ロ調のDoであるB(B♭)の音がします(ほかにA管もあります)。

このため、マンドリン合奏の譜面は長2度高く…C調の曲を演奏する時は、クラリネット(B)はD調に…書かないと、音が合わないことになります。

 

このような移調楽器は、他にトランペット(B、他)、イングリッシュホルン(F)、サックス各種、フレンチホルン(F)などがあります。

 

ん?管楽器が多いですね。

実音が記譜通りではない楽器は、他にもあります。マンドリン関係ではマンドラ・ギター・コントラバスもそうです(実音は記譜より1オクターブ低い)が、これらは楽器の音域の関係でそのように書いていて、調号が変わるわけではありません(広義の移調楽器)。

調号まで変わる、いわゆる移調楽器に管楽器が多いのは、その成り立ちに関係があるようです。

 

管楽器の基本的な音程は、管の物理的な長さによって決まります。

小・中学校の音楽の授業を思い出して下さい。

小学校の時は白いソプラノリコーダー(最低音Do)、中学になると茶色のアルトリコーダー(最低音La)でしたね。楽器が大きくなり管が長くなったことで、基本の音は低くなりました。

ソプラノリコーダーはC管、アルトリコーダーはA管といったところでしょうか。

 

クラリネットでも同じように各調の楽器があり、演奏者は曲(調性)が変わるたびに管を持ち替えていました。

やがて楽器に改良が加えられ、一つの楽器で様々な調が演奏できるようになったことで管が選ばれるようになりました。各調の管の中から音色や取り回しの良いものが自然に残っていき、現在のB(B♭)管とA管の2種類に落ち着いたそうです。

 

 

 

第189回 移調楽器の話 (その2)                       平成26年6月7日

 

今回、移調楽器の話を持ち出したのは、それにひと苦労することがあったからです。

ある曲のマンドリンアレンジを始めたのですが、参考譜にB♭・C・E♭・F調と4種類もの移調楽器が使われているのです。普段マンドリンアンサンブルの譜面では、同じ曲で調号が4つ出てくることはあり得ませんので、面食らいました。

これをまず何かの調に統一しなければ、どんな音が書いてあるのかすら、わかりません。

 

また元譜はB♭で書いてあるのですが、アレンジの際には♯系に書き直してあげることも考えました。

以前別の曲をアレンジしたとき、E♭調で書いたのはいいとして、うっかりギターの最低音にE♭を書いてしまい、お蔵入りになってしまったことがあるからです。

 

さて、どのように調性を統一しよう…。

ここではたと行き詰ってしまいました。

元譜のB♭に統一することにしたのですが、C調の楽器はそのまま書けばよいとして、他の楽器は読み変えねばなりません。移調楽器が1種類だけならば何とか手書きで頑張れますが、3種類となれば手に余ります。

最終的には♯系の調に変換するのだから、最初から目的の調(A調かG調)に全部の楽器を直すことも考えましたが、これはもうややこしすぎます。

 

参考譜とにらめっこすること数日、取りあえず元譜を入力しておこうと楽譜ソフトを立ち上げた時、はっと気づくものがありました。そうです、楽譜ソフトを活用すればいいのでした。

 

筆者の使っているソフトには、移調機能があります。

いきなりスコアを入力するのではなく、楽器ごとに元譜のとおり入力し、それを目的の調(B♭)に移調する。そして移調後にまとめれば、スコアが出来上がるはず。さらに、この機能をフルに使えば、アレンジ後の転調も問題なくなります。

 

これに気がついて、入力作業はぐっと簡単になりました。

鋭意アレンジ進行中、です。

 

 

 

第190回 楽譜の清書                              平成26年6月14日

 

楽譜を清書するのに、今や楽譜ソフトは欠かせないものとなっています、

自作曲やアレンジの清書、スコアからパート譜の書き出し、古い手書きや青焼きコピー譜の再生など、もう音符も擦れかけているような譜面から美しい譜面が出来るのは気持ちのいいものです。

 

そんな楽譜ソフトですが、デフォルトで出力すると、演奏譜としての使い勝手が今一つ、ということもしばしば…。

せっかく苦労して入力した楽譜です。ここはもう一工夫して、より見やすい、使いやすい譜面を作りましょう。

 

ただ、編集は各ソフトによって、また人によって様々です。

ここでは筆者が気をつけていることをお話し、ご参考に供したいと思います。

 

1.ページ数

 

なるべく譜めくりが少ないようにします。具体的にはA4の紙1ページか2ページに収めることを目標とします(パート譜は、ポピュラー曲なら殆どがこの範囲で収まるはずです)。

譜めくりが入る時は、その前後に長休符・フェルマータやロングトーン等、譜めくりしやすいようなタイミングをとるようにしています。

 

2.1行あたりの小節数

 

これはパートによって異なります。

高音部のように8分16分で動く時、小節の幅は広く長く(1段あたりの小節数は少なく)なるでしょうし、低音部など音符の数が少ない時は、狭く短く(小節数は多く)なります。ただ、いくら短く済むと言っても、ある程度の長さは必要です。

筆者は、高音部パートで1段あたり5〜6小節、低音部パートで6〜7小節を目安にしています。

 

また、一つのフレーズまたは同じ段の中では、できるだけ小節の幅を揃えるようにしています。同じフレーズ(段)の中で小節の幅が違うとぱっと見で拍がわかりにくく、また見栄えもあまりよくないからです。

 

3.飛ぶ記号の位置

 

繰り返し・D.C.D.S.Coda等で曲が飛ぶ…こんなとき「どこへ飛んでいる?」と記号を探したことがありませんか?

1・2との兼ね合いもありますが、飛ぶ記号は、できるだけ見やすい位置にしてあげるのがいいと思います。

 

4.小節番号

 

リハーサル記号とは別に、小節番号がふってあると練習の時たいへん重宝します。

以前、スコアにはある小節番号がパート譜にはつかない、ということがありました。小節番号についての設定が間違っていたからですが、それ以来設定をよく確認して、全てのパート譜に小節番号をふるようにしています。

また弱起の曲は、その設定を忘れずにします(小節番号がずれますので…)。

 

5.文字の大きさ、印刷の倍率

 

何か譜面が窮屈に感じるときが、ままあります(実際、筆者の使っているソフトは、デフォルトではそう感じます)。

こんな時は次のことをお試しください。

 

(1)フォントを小さくする

多くのソフトでは、フォント(文字・オタマジャクシの)サイズが変えられます。これを1ポイント小さくしてみる。

 

(2)縮小の設定ができるのであれば、80〜90%程度の縮小に設定してみる。

標準より一回り縮小して印刷することで、だいぶすっきりとした譜面に仕上がります。

 

いかがでしょう?

編集に悩んでする方の参考になれば幸いです。

 

 

 

第191回 昔懐かし                               平成26年621

 

学生時代弾いた曲を今弾くことがあります。

多くの場合、「うわ〜懐かしい」と取りかかり、昔取った杵柄でさらっと…弾けてしまうものですが、時として「あれ?」と思うことがあります。寄る年波で指が動かないのはしょうがないとして、他にもこんなことが…

 

1.間違えて覚えていた

 

頭の中で弾いていたメロディや指使い。しかし今改めて譜面を見ると、それが間違っていることに気付いた!!

やはり、長い年月で思い出は美化されるものなのです。

 

2.編曲が違う

 

当たり前の話ですが、編曲者が違えば譜面が違います。調が変わっていたり、各パートへの音の配分が違っています。

また同じ編曲者でも、年代により、編成によりアレンジが変わることがあります。

 

3.曲が違う

 

作曲者自身が曲を見直しして、改訂していくことがあります。

例えば、「パストラル・ファンタジー」(藤掛廣幸)は初版と最新版ではCodaなどが変わっています。

「山の印象」(鈴木静一)は初版とオケ編版では編成も違いますので、受ける印象は全く別の曲かと思うほどです。

 

4.譜面が間違っている

 

写譜ミスなどで間違っているということが考えられます。

手書きの譜面は起こりがちでしたが、最近の楽譜ソフトによる清書でも起こります。それがかえって始末に悪いのは、できた譜面がなまじ綺麗な分、気がつきにくいことです。

また、市販譜を自楽団に合わせて手直しする…よくあることですが、その結果、オリジナルではない、特別な譜面ができてしまいます。なぜその音があるのか(ないのか)解って使っていればいいのですが、そのうちそれが独り歩きしてしまう。

こうした間違った、あるいはオリジナルではない譜面が何かのときに流通してしまうと、これはコワイものがあります。

楽曲は私たちの共通の財産です。作曲家・編曲家のオリジナリティを尊重し、写譜・清書作業には細心の注意をもってあたりたいものです。

 

 

  (第192回は省略)

 

 

 

第193回 合同演奏会                             平成26年7月6日

 

母校のマンドリンクラブで、現役とOBの合同ステージを持つことになりました。

こういうとき話題となるのは曲目です。現役バリバリの学生はどんな曲を提示してくるのでしょうか?

 

すると、現役学生の方から「OBのみなさんの希望曲をお聞きします。その中から私たちで選曲します」との申し出。意外でした。最近の学生マンドリン界は現代邦人曲が花盛りです。そういった曲から選んで来るだろうと思っていたからです。

 

打合せの際、学生たちが言っていたのは、「昔の方はどんな曲を弾いていたのか知りたい」ということでした。

とすると、彼らは、もしかしたら、昔先輩方がやっていたマンドリンオリジナル曲やクラッシックアレンジ曲を知らないのだろうか?(だから、プログラムが現代邦人曲で占められているのかもしれません)

 

現役学生が昔の曲を知らないのには、いろいろな訳が考えられます。

新しい曲は毎年出て来ますし、一つの大学で演奏すればそれが他の学校にも広まっていきます。古い曲は、弾き続けられなければ忘れられてしまう可能性があります(まして学生オーケストラは基本的に4年間でメンバーが入れ替わります。また、自分が一度やった曲は在学中に再演しないという不文律がある学校も多い)

そうならないためには、音楽・楽曲に広い見識のある指導者(いわゆる「音楽監督」)がいるか、譜面と演奏会記録(録音です)を残しておいて手軽に再生できる必要があります。

 

ふと、これは大切な問題かと思いました。

かつて録音媒体といえばレコードにテープでした。しかし、今や一般家庭でレコードプレーヤーやテープデッキがある家庭は稀です。学生たちの録音もいつの間にかCDになっています。

つまり過去の演奏会の録音があっても、今の学生たちは聴くことができないのです。

私たちの世代では定番であった曲も、聞いたことがなければ弾こうとは思わないのも当然かもしれません。

 

クラッシック曲に古典から現代音楽まであるように、マンドリン曲にも古典(と称していい曲)から現代音楽まであるはずです。今はこのうち、現代音楽だけがクローズアップされすぎているように感じます。

マンドリン曲のより健全な発展のために、過去の定番曲や名演奏の早急な復刻(デジタル化)が必要なのかもしれません。

 

 

 

第194回 楽器の手入れ                             平成26年7月12日

 

台風一過、一気に暑くなってきました。梅雨も終盤に差し掛かろうとしています。

 

こんな時、気になるのは楽器の手入れかもしれません。

マンドリンをはじめ、ドラ・セロ・ギターや、もっと広くバイオリン属の各楽器等、西洋を起源とする楽器は高温と湿度を嫌うようです。

ストラディバリウスを優秀な音楽家に貸与している団体の禁止項目の一つに、「真夏の日本に持ち込まぬこと」とあるとか。

そこまで神経質にならないとしても、やはり、「ケースの中は乾燥させる」「練習後の汗などは拭き取る」「しまいっ放しにせず、風を通す」などしたいものです。最後のケースは、ちゃんと毎日練習していればできそうですね…ウォッホン!!

 

ところで、これと正反対なのは尺八・三味線などの和楽器。和楽器はアメリカなどに持っていくとてきめんに乾燥してしまうので調子は狂うわ、最悪の場合、楽器が割れたりすることがあるそうです。

このため、かの地では保湿が大問題。レタスを尺八に巻くなどして、苦労して適切な湿度を保つのだそうですよ。

 

 

 

第195回 裏打ち                               平成26年7月19日

 

ヴァイオリニストの高嶋ちさ子さんの新しいCDを聞いています。

12曲のうち、1曲は「踊れる曲」なんだそうです。

 

どういうことかというと、高嶋さんの下の息子さんのことです。

音楽好き、なかでも葉加瀬太郎さんの「情熱大陸」を聴くと、ノリノリに踊りまくる息子さんだとか。

その息子さんに「ママの曲じゃ踊れねえ。今度のCDには踊れる曲を入れて!」といわれて作った曲があるそうなのですよ。

 

その息子さん、工事現場に差し掛かると工事の音でも踊りだすほどなのですが、「体の動きを見ていると、完全にリズムが裏打ち」なんだそうです。クラッシックは普通に頭打ち、裏打ちはロックです。

「息子はロック野郎だ…」と気付いた(東京新聞7月18日付「暮らし」欄)クラッシックの演奏家・高嶋さんがショックを受けたかどうか…?

 

裏打ちでふと思い出したのですが、もう30年位前に歌手のアイ・ジョージさんのステージをテレビで見た時です。

ジョージさんが歌うのに合わせてお客さんが手拍子をする、よくあることなのですが、実はその時の歌が「You Are My Sunshine」。

ところが手拍子は完全に拍の頭に入っていて、軽快なPopsであるべき「You Are My Sunshine」がすっかり民謡調になってしまっていたことがありました。

 

その時ジョージさん、「若い方たちを中心に裏打ちが根付き始めている」様なことを言っていました。

「このウラ(裏打ち)を意識することなくては、生き生きとした演奏は生まれない「音楽の基礎」芥川也寸志」のですが、いまや小学生でも裏打ちが自然に身についているのですね。

 

ところで、CDのどの曲がその「踊れる曲」だったのでしょうか?もう一度聞いてみます!

 

 

 

第196回 「お気楽クラブ」に出演しました                  平成26年7月27日

 

「お気楽クラブ」は横浜市もえぎ野地域ケアプラザが主催する、地域のお年寄りの集いです。

このお気楽クラブにアンサンブル青葉メンバーが出演し、合奏を披露しました。

 

快晴の23日、アンサンブル青葉メンバーのうち7名が集結。指揮者岩崎も、今日は指揮棒を楽器に替えての演奏です。

お気楽クラブの皆さんはすでに席についてお待ちかねでした。

まず、マンドリン合奏曲を披露。「浜辺の歌」を皮切りに「雨(La Pioggia)」「ヴェニスの夏の日(映画「旅情」テーマ曲)」「慕情」と、懐かしい曲を演奏しました。

そして、歌。「高原列車は行く」「青い山脈」「夏の思い出」「丘を越えて」が演奏されますと、皆さん「待ってました!」とばかりに大きな声での合唱となりました。

青葉のメンバーにとっても、楽しい一日となりました。

 

これまでの活動に戻る

 

 

 

第197回 今年も清正さんと演奏しました                       平成26年8月2日

 

真夏の都心の祭典(?)。今年も九州大学マンドリンクラブの在京OB・OGによる「第11回MCKサマーコンサート」が開催され、アンサンブル青葉からも九大OBの3名が出演しました。

 

今年は2部構成の第1部を在京の佐々木さんが指揮。「ヴェニスの一日(E.ネヴィン・中野二郎編)」、「アベ・マリア(カッシーニ・武藤理恵編)」、「序曲ローラ(ラヴィトラーノ)」の3曲を演奏しました。

 

そして第2部を清正さんが指揮。

まず、「グリーンスリーブス」「マンドリン協奏曲ハ長調(ビバルディ)」が披露されました。

 

次いで武井守成の「カルッリを偲びて」「落ち葉の精」「軒訪るる秋雨」の3曲。これは、清正さんが解説しながらギター独奏とマンドリン合奏の両方を演奏、聴き比べるという凝った演奏となりました。

最後は「木曽節に基づく小協奏曲(池ヶ谷一郎)」で今年のサマーコンサートを締めくくりました。

 

演奏は九州大学マンドリンクラブ(MCK)のOB・OGの方々ですが、聞き手はMCKのOB・OGをはじめご家族・ご友人、世代も現役の学生に近い方から卒業後ン年の大ベテランまで大きな輪に広がっています。

清正さんとMCK東京支部の今後の活躍を期待します。

 

 

 

第198回 モルダウの思い出                            平成26年8月9日

 

学生時代の演奏会の録音テープを見つけました。しかし今、カセットデッキなどないので、聞くことができません。思い切って業者にCD作成を依頼しました。

待つこと1週間…届いたCDを早速プレーヤーにかけてみる(レコードの時は、「針を落とす」と言いましたっけ)…やがて流れてきた音は、紛れもなく自分がかつて情熱を注いでいた音、仲間たちと作り上げた演奏会でした。

 

デジタル処理のため、音はクリアーです。

テープの時はどうしてもノイズが入り、音声レベルも低いので何を弾いているのか解りにくかったのですが、CDにしたことによってノイズはなくなり、一音一音がはっきり聞こえます。「あれ?こんなに上手かったっけ?」と思うほど。

当然不出来の箇所、失敗したところもそのままクリアーに残っていて、思わず「にやり」としてしまいました。

(古いテープやレコードをお持ちの皆さんも、ぜひCD化することをお勧めします)

 

それにしても、当日のプログラムはたいしたものです。

3部構成の1部のメインが「グランド・シャコンヌ」、3部のメインが「モルダウ」でした。

途中の2部ではギター合奏、マンドリン合奏など趣向も凝らしています。

これを半年足らずの期間、40人に満たない人数でこなしたのです。今では到底考えられないスケジュールです。若さと情熱ゆえだったのでしょうか。

(続く) 

 

 

 

第199回 モルダウの思い出(その2)                    平成26年8月16日

 

「この作品はヴァルタバの流れを描写している。それは暖かい方と冷たい方の二つのヴァルタバの最初の源に耳をそばだて、それから二つの川の合流をたどる…」とスメタナが書いた「モルダウ」。哀愁に満ちたメロディは誰しもご存じでしょう。

 

学生時代、このモルダウを演奏することになった時、まず初めの問題は譜面でした。30何年前のことでモルダウのマンドリン譜などありません。なければ自分たちで作るしかない。そこで各パートトップはオーケストラ譜を持ち寄り、ああでもないこうでもない、と議論したものです。

 

次いでの問題は、モルダウの流れを描写した8分音符の扱いです。あのメロディの下で、絶え間なくさざめいている流れの音。これが上手く弾けなければ曲は成り立ちません。

特にモルダウの最初の一滴を表したあの6つの音。マンドリンやギターが幾らやってもだめでした。ちょうど夕立の前、雨粒がバラッと落ちてきたような感じとでもいえましょうか、上手く流れないのです。

 

そこへフルートトップがやってきたので、早速冒頭の8分音符を吹いてもらう…タリラタリララ…「おーっ。流れた!」

無理にマンドリン・ギターでやらなくて原曲のとおりフルートにした方が、率直に良かったのです。これはもう、撥弦楽器と管楽器・擦弦楽器の特性の差、というしかありませんでした。

(最近のマンドリンオーケストラを聞くと、編成中あまり管楽器を入れないようです。プレクトラム音楽を突き詰めるとそうなるのでしょうが、ちょっと理詰めに過ぎるような気もします。もう少し柔軟性を持ってもいいのではないでしょうか)

 

このような試行錯誤を積み重ねて演奏した曲、「モルダウ」。誰かに編曲を頼んだとか、高名な先生の編曲譜があったとかというわけではなく、楽器の使い方などとんでもないものであったかもしれません。そこにあったのは、ただその曲をやりたい、という思いだけ。

そこには確かに、若さと情熱があったのです。

 

 

 

第200回 カラオケ上達法                            平成26年8月23

 

息抜きにカラオケなどいかがでしょう。

皆さん、一つくらいは十八番(おはこ)の歌があるのでは?

ここぞというとき得意の歌で決めれば、皆さんの株も上がろうというものです。

先日、テレビでカラオケ上達法?をやっていました。内容を紹介しましょう。

 

まず、歌い出しが肝心。ここで全体の80%が決まってしまいます。

前奏をよく聴いて、歌い出しの音を確実に捉えましょう。ここで最初の音を外すと、聴いてもらえなくなってしまいます。

 

歌うときはスマイル・スマイル、笑顔で歌いましょう。笑顔になると自然に口角があがり、顎が引け、身体全体で歌うことができるようになります。

歌うとき、顔を上下左右に振る方がいますが、これは喉に負担をかけるだけでNGです。

なに、「天城越え」を歌うときも笑顔なのかって? うーん、とにかく、口角をあげてくださいね。

 

サビの部分=高音部では、音程が詰まってしまうことがままあります。

高音であることを意識せず、呼吸(いき)も普段の五倍をかけてたっぷりと歌ってください。

できれば、事前にその歌の最高音で全曲歌い通して見ると、いいレッスンになります。

 

そして何より大切なのは、実は心掛け。同伴の方がいるはずです。同伴の方に聴いていただくんだ、という気持ちをもって歌いましょう。

 

※※ 200回御礼 ※※

 

このMember’s Voiceも回を重ねること200回になりました。

これも寄稿してくれるメンバーの協力と、何よりも覧いただいている読者の皆さまのご支援・ご声援の賜と、管理人より厚く御礼申し上げます。

エッセイストの阿川佐和子さんは、物書きをはじめたとき、父君の作家・阿川弘之氏から「常に志賀先生がお読みになると思って書きなさい」と注意を受けたそうです。

志賀先生とは、阿川弘之氏の師である志賀直哉先生のこと。この文を自分の尊敬する人がお読みになったら、どう思われるだろう。それを考えれば、おのずと表現の仕方が違ってくる…(「叱られる力」文春新書より一部引用)。

この言葉を私たちも心に留めて、これからもMember’s Voiceを提供させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

第201回 弦の押さえ方                            平成26年8月30日

 

最近、特に年のせいか(イヤな言葉ですね)、弦が上手く押さえられずに音がビビることが多くなりました。特に低音弦(マンドリン・ドラのG線、セロのC線)でそれが目立ちます。

セロのC線など、ミミズのように太い弦を小指で押さえる訳ですから指に相当力を入れなければ押さえ切れるものではありません。学生の時は苦もなく押さえていたのになあと嘆息しています。

その一方、今は女性のセロ弾きの方が多いのですが、そういう方々が鮮やかに弾くのを目の当たりにしていると、これはやはり努力不足なのかと自らを叱咤激励したりと、忙しい(?)ことです。

 

さて、学生時代の友人と久しぶりに飲んだ時のこと。コンマスだった彼は、今は保護者間の付き合いでバイオリンを弾いているそうで、マンドリンとの比較を話してくれました。

 

曰く、バイオリンは指板を水平にしたうえで楽器を肩と顎で支えるので、左手は楽器保持には関係なく、指を指板の上を滑らせて弦を押さえるだけで済む。

マンドリンは指板を垂直にして身体で抱えるようにするため、左手が楽器保持に必要になり、弦を押さえるときネックを握ってしまいがちになる。そのため、指先が痛くなることが多かったが、バイオリンではそれほどではない。

また、バイオリンはフレットレスのためポジションを正確に自分でとる必要がある。バイオリンを弾いた後マンドリンを弾くと、指が自然に正確にフレットのところへ動いていて、とても楽になった…。

 

なかなか示唆に富んでいます。

弦は指の腹でなく、フレットに真っ直ぐに立てた指先で押さえる。弦を押さえていますと必然的に硬くなってきますが、硬くなってくる場所に注意を払うことで、正しく弦を押さえられているかどうか確かめられるような気がします。

押さえる箇所はフレットの上、またはフレットのギリギリのところが良いようです。フレットの真ん中を押さえたのでは音がビビる一因になるようです。

あとはフレットの状態。もし摩耗が激しい場合には信用のおける楽器屋さんで打ち直しをしてもらいましょう。

 

ちなみに筆者の楽器は学生時代に作ったもの。ろくにメンテナンスをしていないので、コンディションが相当落ちているはず…とメンテナンスを考えているのですが、その間に弾く楽器をどうしようかと思案していて、まだ実現していません。

 

 

 

 

第202回 ●と■                               平成26年9月6日

 

l   サッカーの新生日本代表、初陣は残念!ところで日本代表の新監督、アギーレ氏の言葉が話題になったね。

n   「ボールを持っていない88分を私は見ている」というやつだろう?

「サッカーのゲーム90分の中で1人の選手がボールをプレーする時間は2分。ボールを持っていない88分の中で選手は何をしているのか。チームに対するコミットメント、チームに対する責任という部分で私はそこを見ている」と言ったんだ。

l   ふーむ、ボールをプレーしていないときに何をしているのか、か。さしずめ合奏では、楽器を弾いていないときに何をしているのか、ということになるのだろうか?

n   おいおい、少しアンフェアなことがあるぞ。

いわゆるオーケストラ形態の合奏では、どうしても出番の少ないパートがある。また、曲によっては長休符が続いたり、延々と全音符が続いていたりする。単純にスポーツと比べられても困るな。

l   ああ、そうだった。それは失礼しました。

でも参考までに、実際そうしたパートはどうしているのかな?

n   長休符があるときは、小節数を数えている。例えばパストラル・ファンタジー。

パストラル・ファンタジーではフーガに入ってからドラは8小節、ファーストは20小節、セロ・ベースは32小節、ギターに至っては44小節休符が続いている。その間、小節を数え、リズムをとっている。そうしなければ入るべきところでうまく入れない。

l   そうだったね。数えているだけでいいの?

n   いや、数えながら指揮者がどういう所作をしているのか、他のパートが何をしているのか、目を凝らし耳を澄ましているんだ。そうして作曲者の意図、指揮者が何を表現しようとしているのか、曲がどんな雰囲気なのかをつかんで演奏に入るのさ。

l   なるほど、音は出さないけど合奏には加わっているんだ。そうしてみると休符というのは「音を出さない」という音符なのか。それを確実に弾きこなすことで、合奏全体の精度があがってくる、ということなんだね。

n   そういうことだね。

 

 

 

第203回 選択と集中                            平成26年9月13日

 

定期演奏会まであと二カ月。合奏練習だけでなく、個人練習をどのように進めていくのか頭の痛いところです。

普段の仕事・家庭生活のなかで練習時間をいかに確保するのか。曲もこれから十分に引き込んでいかなければなりません。また、あまり大きな声では言えませんが、他に出演を頼まれている曲もありますし。

 

新聞に野球解説者の桑田真澄さんのインタビューが載っていました。桑田さんは「弱小」といわれている東大野球部の特別コーチです。そのインタビューはもちろん野球に関してのことなのですが、音楽にも十分通用するものと思い紹介します。

 

桑田さんのアドバイス1、短期集中

「練習は長時間やればいいというものではない。長時間やれば集中力が落ち、1回当たり手抜きになってしまう。むしろ短時間に全力でやった方が効果的だ。」

 

50メートルダッシュを20本という練習メニューがあるが、体力が続かないから20本も全力で走り通せない。それならばダッシュの本数を8本にして、本当に全力で走った方がよい。

 

桑田さんのアドバイス2、選択と集中

「無駄な練習を省き、必要な練習に体力と気力を集中させること」。

 

東大の投手は、直球の球速がせいぜい120キロ程度。これでは他にいくら変化球があっても相手打者は怖くない。

ならば120キロのスピードでもそうそう打たれない「アウトローへのコントロール」という選択をし、それにこだわるべきだ。

そして一番大切なのは、「投球マウンドのあるブルペンでいかに多く投げ込むか」ということ。投球マウンドは傾斜がある。ここから投げるということで、投手はバランスを取りながら制球力をつけていく。これが投手と平地でプレーする野手の決定的な違いである。

 

桑田さんのアドバイスを音楽に応用するなら、いかに短時間に集中し、かつ本番をイメージして演奏するか、ということになるのではないでしょうか。

また、各曲ともポイントになる箇所があるはずです。そこを集中して練習することで、練習の効率が高まるものと思います。

 

(桑田真澄さんのアドバイスは、朝日新聞9月6日オピニオン欄「東大野球部を教える」を参考にしました)

 

 

 

第204回 お宝鑑定団                             平成26年9月20日

 

好きなテレビ番組の一つに「開運!なんでも鑑定団(テレビ東京系)」があります。毎回、古今東西の書画骨董、あらゆるお宝が登場し、その来歴と共に楽しませてくれます。

我が家にも何か出品できるようなお宝がなかったかな〜と考えてしまいますが、不謹慎にも手持ちの楽器位しか思いつきませんでした。

 

そういえば「鑑定団」で楽器はあまりお目にかかりません。番組のHPを見ると、ここ5年ほどで5点位、うち3点がギターでした。

その中身はかなりすごく、グレッチ社のギターで初期タイプのもの、鑑定結果200万円、バイオリン製作者宮本金八が作ったギターが350万円。この宮本のギターは、バイオリンと同じつくり、つまり響板が一枚の削り出しでサウンドホールがフォルテホールになっているという珍品でした。

最高値がエルナンデス・イ・アグアドのギター。鑑定結果なんと500万円!

こういう値段になると、恐ろしくて満足に弾けたものではありませんね。

 

さて、翻って我が愛用の楽器はどうでしょう?

う〜ん、確かにマンドリンの名工の手工芸品ではありますが、マンドリンという楽器は一般にはあまり知られていないようですし、まして弾いているのが無名のアマチュア。「鑑定団」には所詮無理なお話でした。

 

ただ、「お宝」としての価値はないとしても、学生時代からこの楽器と過ごした時間は何物にも替えられません。その思いを胸に、練習に取り掛かるとしましょうか。

 

 

 

第205回 発車メロディ                           平成26年9月28日

 

東海道線茅ヶ崎駅の発車メロディが、来る10月1日から変更されます。

新しい発車メロディは、地元出身の人気グループ・サザンオールスターズの代表曲中の一つ、「希望の轍」。

歌詞の中に「烏帽子岩」など地元湘南の風景を織り込んだこの歌は、以前から発車メロディにという希望がありました。地元商工会議所などが一万人の署名を集めて要望した結果、採用になったそうです。

 

発車メロディはかつて発車ベルでした。いや、田園都市線などは各駅にベルなどなく、車掌さんが手笛を吹いて電車の発車を知らせていたものです。

それが電子音に切り替わったのはいつ頃でしょうか。筆者が初めて電子音を聞いたのはもう40年以上前。初めて聞く「ぴろぴろぴろ…」という甲高い電子音は、それまでの「ジリジリーーン」という発車ベルに比べてどうにも耳障りでした。

不評は国鉄にも聞こえていたようですが、当時は対応できませんでした。

しかしJRとなって急速に発車メロディの研究が進み、その結果、1989年に渋谷・新宿両駅で使用を開始。その後各駅に拡大していきました。

今では発車メロディ専用のメロディのほか、沿線各地の歴史的経緯などで「ご当地メロディ」が現れるようになりました。

 

東京近郊にある「ご当地メロディ」、いくつかご紹介しますと…

 

l  「鉄腕アトム」主題歌…山手線高田馬場駅、武蔵野線新座駅

鉄腕アトムの生みの親、手塚治虫氏に因んでいます。

l  「蒲田行進曲」主題歌…京浜東北線蒲田駅

説明の必要はありませんよね?

l  「銀河鉄道999」主題歌…横浜線淵野辺駅

宇宙航空開発機構(JAXA)相模原キャンパスが近くにあることから。

 

この他にも、全国各地でご当地発車メロディが聞こえます。

秋のひと時、電車を乗り継いで聴きに行ってみませんか?

 

 

 

第206回 発車メロディ                           平成26年9月28日

 

東海道線茅ヶ崎駅の発車メロディが、来る10月1日から変更されます。

新しい発車メロディは、地元出身の人気グループ・サザンオールスターズの代表曲中の一つ、「希望の轍」。

歌詞の中に「烏帽子岩」など地元湘南の風景を織り込んだこの歌は、以前から発車メロディにという希望がありました。地元商工会議所などが一万人の署名を集めて要望した結果、採用になったそうです。

 

発車メロディはかつて発車ベルでした。いや、田園都市線などは各駅にベルなどなく、車掌さんが手笛を吹いて電車の発車を知らせていたものです。

それが電子音に切り替わったのはいつ頃でしょうか。筆者が初めて電子音を聞いたのはもう40年以上前。初めて聞く「ぴろぴろぴろ…」という甲高い電子音は、それまでの「ジリジリーーン」という発車ベルに比べてどうにも耳障りでした。

不評は国鉄にも聞こえていたようですが、当時は対応できませんでした。

しかしJRとなって急速に発車メロディの研究が進み、その結果、1989年に渋谷・新宿両駅で使用を開始。その後各駅に拡大していきました。

今では発車メロディ専用のメロディのほか、沿線各地の歴史的経緯などで「ご当地メロディ」が現れるようになりました。

 

東京近郊にある「ご当地メロディ」、いくつかご紹介しますと…

 

l  「鉄腕アトム」主題歌…山手線高田馬場駅、武蔵野線新座駅

鉄腕アトムの生みの親、手塚治虫氏に因んでいます。

l  「蒲田行進曲」主題歌…京浜東北線蒲田駅

説明の必要はありませんよね?

l  「銀河鉄道999」主題歌…横浜線淵野辺駅

宇宙航空開発機構(JAXA)相模原キャンパスが近くにあることから。

 

この他にも、全国各地でご当地発車メロディが聞こえます。

秋のひと時、電車を乗り継いで聴きに行ってみませんか?

 

 

 

第207回 高音部の魅力                            平成26年10月11日

 

母校のマンドリンクラブ創設の記念祝賀会でCelloを演奏することになりました。それもSoloで、です。

何を弾くのか考えましたが、思い切ってフォーレの「夢の後で(Après un Rêve)」を披露することにしました。

 

さて、この譜面はフォーレの原曲をカザルスがCello独奏曲に編曲したものですが、とにかく音域が高い。

ハ音記号で始まり、途中からト音記号になり、最高音は中央Cのオクターブ上のF音(A線の第19フレット)。当然ポジション取りも高くなります。

これはvioloncelloでも相当な高音域で、mandoloncelloでは楽器によってはフレットがないものもあり、きちんと弾かないと音楽になりません。練習しながら、高音部が苦手なmandoloncelloを残念に思ったり、ふとこれがリュートであれば楽なのにな、などと思ったりしていました。

 

リュートモデルノはCelloA線の上にE線があるもので、要するに高音部はmandolaと同じです。E線があれば最高音のF音も第14フレットに止まりますし、その他のところも無理にハイポジを使わなくて済み、音も安定するはずです。

でも楽譜には4ポジ以上のハイポジをあえて使うように指示があります。そして、このハイポジションを使った時の音色は、…筆者は大好きなのです。

 

練習の甲斐あってか、どうやら他人に聴いていただける位には仕上がってきました。何かと不自由なCelloですが、その魅力を披露できれば幸いです。

 

 

 

第208回 豊かな時間                            平成26年10月18日

 

ドラマやCMなどで自分が知っている場所が出てくると、なにか嬉しくなりますよね。

近所のマンションでは、しばしばドラマの撮影があります。先だっても古い型のパトカーが止まっていました。よく見ると「警視庁」の文字が(マンションは神奈川県所在です)。

そう、スタッフさんたちがロケの準備をしているのでした。

しかし、残念ながら何のドラマかはわからないので、放送で見たことはありません。

 

さて、東京近郊の方は東京メトロのCFを駅構内や車内モニターでご覧になっていると思います。

最新のCFでは、読書の秋をテーマに、堀北真希さんが神田・神保町の古書店を巡っています。

 

神保町は日本を代表する古書店街。そして、筆者が学生時代を過ごした街でもあります。

その時から30年以上経っていて、さすがに街並みに変化はありますが、CFの冒頭に出てくる古本屋さんは、嬉しいことに以前のままです。

 

とある本屋に入る。ふと、店主と目が合う。

−おすすめはありますか?

−嗅覚を信じなさい

 

CFでの会話のとおり、古本のかほりに囲まれながら、自分の好みの本を探す楽しみ…。そんな楽しみを、最近はすっかり忘れてしまっていました。

そこにはケータイもネットもなく、ただ豊かな時間がゆっくりと流れていくようです。

 

 

 

第209回 「大人の文化祭」に出演しました                   平成26年10月25日

 

秋晴れに恵まれた25日、横浜市都筑区のハウススクエア横浜で「大人の文化祭」が開かれ、このうちミニステージに参加しました。

 

地元タウン誌とハウススクエアの共催で開かれた「大人の文化祭」。各種セミナー・イベントでたいへんな賑わいでした。

アンサンブル青葉は8名の選抜メンバーでマンドリンアンサンブルを披露。アニメソングからクラッシック、ポップス、コンチネンタルタンゴと幅広い曲を演奏し、集まったお客様から盛んな拍手をいただきました。

 

演奏曲目:雨(La Pioggoa)・愛の挨拶(E.エルガー)

となりのトトロより「さんぽ」・アンパンマンのマーチ・千と千尋の神隠しより「いつも何度でも」

見上げてごらん夜の星を・碧空(Blauer Himmel

 

 

これまでの活動に戻る

 

 

 

第210回 豊かな時間(その2)                        平成26年11月1日

 

先日、神保町を通った時のこと。ちょうど古本市の真っ最中で、歩道いっぱいに古本の露店が並んでいました。

何軒か冷やかしながら歩いていると、視線を感じました。振り返ると、古いペトルーシュカ(道化師の操り人形)が目配せをしているではありませんか。

 

まるで魅入られたかのように買い求めると、その古いペトルーシュカは語り始めました。かつて自分が過ごした青春時代のことを。筆者は彼の話に引き込まれていきました。

遥かな土地で過ごした恩師・恩人との日々、恩人の亡きあと招請を受けて移ったフランス租界での日々、故国を追われた人々との出会い。

ペトルーシュカは、敗戦後の日本で混乱の中で活躍したこと、故郷への思い、懐かしい人々との再会などを、訥々と、時にははにかむように、時には雄弁に語ったかと思うと、すっと姿を消してしまいました。

 

古いペトルーシュカは、譬えようもなく豊かな時間を与えてくれました。

今、彼は本棚の片隅にいて、静かに筆者を見守っているようです。

 

(この一文は、「ペトルウシュカの独白」の読後感に自由な脚色を加えたものです。)

 

 

 

第211回 演奏曲のご紹介                          平成26年11月8日

 

もうすぐ演奏会です。今回は、私たちにとって初めて「定期」とつける演奏会になります。

2年前の「創立10周年演奏会」よりの積み重ねをぜひご鑑賞ください。

演奏曲目の一部をご紹介しましょう。

 

タイスの瞑想曲

J.マスネー作曲。歌劇「タイス」の第2幕第1場と第2場の間に演奏される間奏曲です。

幕間ですが、ここは娼婦タイスが修道士アタナエルによって改悛するという重要なシーン。タイスが瞑想して、今までの人生を振り返る…という場面で演奏される曲です。

その美しいメロディから単独の曲としても親しまれ、様々な器楽曲に編曲されています。

 

アストゥリアス

I.アルベニス作曲の「スペイン組曲」第5曲です。

本曲はアルベニスの「スペインの歌」の第1曲(前奏曲)でした。

アルベニスの没後、未完の「スペイン組曲」を出版する際、その第5曲「アストゥリアス」に本曲を充てたものですが、タイトルとしてはこの「アストゥリアス」の方が有名になりました。

さらに、もとはピアノ曲でしたが、A.セゴビアによりギター独奏曲に編曲され、単独の小品としてはギター曲の方が有名になっています。

 

アヴェ・マリア

「アヴェ・マリア」という曲は様々な音楽家が作曲していますが、今回お届けするのはF.シューベルト作曲の「アヴェ・マリア」です。

正確には「エレンの歌 第3番」であり、シューベルト最晩年の歌曲集「湖上の美人」の一部を成す一曲であり、シューベルトの歌曲の中でも最も親しまれている一曲です。

 

エターナリー(いつまでも)

1952年の映画「ライムライト」の主題曲「テリーのテーマ」です。

 

かつての人気者で、今は落ちぶれた道化師カルヴェロ(チャップリン)は、ある日、自殺を図った踊り子の卵テリー(クレア・ブルーム)を助けます。

カルヴェロの献身的な看護で再び踊れるようになったテリーは、いつしかカルヴェロに恋心を抱くようになります。

しかし、二人の年の差・境遇を考えたカルヴェロはテリーと離れてしまいます。

 

やがて舞台で再会した二人。

カルヴェロは再起の舞台で熱演し、観客の絶賛を浴びます。しかし、熱演のあまり彼は舞台から転落し、重傷を負ってしまいます。そして、何も知らないテリーが踊るのを見ながら、カルヴェロは息を引き取るのでした。

 

この、踊っているテリーのバックにこの曲が流れています。

 

 

 

第212回 もうすぐ演奏会                           平成26年11月15日

 

 先日事務局に荷物が届きました。発信人は印刷会社。そう、定演のプログラムが届いたのです。

 編集には苦労したもので、下書きから原稿作成、印刷会社への入稿までやってきたので中身はわかっているのですが、いざ現物を見ると「いよいよ本番間近だな〜」と気持も引き締まります。

 

 今回は演奏曲のご紹介(その2)をやる予定でしたが、本番のプログラムに書いてありますのでそれは取り止め。

演奏会本番で、ぜひお楽しみください。

 

 演奏曲は、他に「荒城の月幻想曲(服部 正)」、「夢の桃太郎(山田耕筰)」、「山の印象(鈴木静一)」

        「第一組曲(G.ホルスト)」、「交響曲第5番「運命」第2楽章(L.v.ベートーヴェン)」です。

 

では、会場でお目にかかりましょう!

 

 

 

第213回 謹んで御礼申し上げます                     平成26年11月22日

 

先日は「2014年定期演奏会」に多くのお客さまにご来場賜りましてありがとうございました。

 

本演奏会は、私たちにとって初めての「定期」と名付けた演奏会でありました。12年前、8人で発足した当アンサンブルも18名を数えるまでになり、また演奏技術の蓄積も進んで、ようやく自分たちの音楽を定期的に発表できるまでになった、最初の演奏会でした。

 

その記念すべき定期演奏会に、平日の開催にもかかわらず100名を超えるお客様にご来場下さったことは、私たちの大きな励みとなりました。

 

今回の定期演奏会を開催するにあたり、ご協力いただいた関係者の方々、舞台で直接ご援助下さった賛助・司会の方、ならびに陰で支えてくれた家族、そして何より会場で暖かい拍手をいただきましたお客様に改めて御礼申し上げます。

 

アンサンブル青葉会長 藤ア 哲郎

 

 

 

第214回 新しいケース                            平成26年11月29日

 

楽器ケースを新調しました。

筆者の楽器は学生時代に作ったもので、ケースはその時についていたもの。当時は黒の人工皮革貼りケースが一般的でした。

 

30何年愛用してきましたが、バックルが壊れてしまい、ロックが効かず持ち運んでいる最中に楽器が転げ出す危険がありました。気がついたのが定演の前の夜でどうしようもなく、会場にはテープで固定して持っていったのでした。

 

演奏会終了。ケースをどうしようか。

もちろん、バックルのみ修理すればいいのですが、問題はその重量です。

ケース本体は木製だから重いのなんの。これに楽器を入れてえっちらおっちら担いでいたわけです。

もっとも頑丈なケースであり、これは満員電車に乗り込む時にきわめて有力なツールでしたが、このまま持っていますと確実に腰に来ます。このままでは演奏を続けることも危ぶまれることになりかねません(?)。

 

楽器屋で最新の軽量ケースを購入しました。

いままでの持ち運びが何だった?と思う位、軽量です。背負うこともでき、これで両手が空いて楽になりました。

 

ところで、古いケースは?

捨てるには忍びなく、自宅で鎮座しております。

 

 

第215回 演奏会アンケート結果                      平成26年12月6日

 

先日は「2014年定期演奏会」にご来場賜りましてありがとうございました。

平日でありましたが、120人ほどのお客様にご来場いただきました。

その時お寄せいただきましたアンケートの集計が出来ましたのでご報告いたします。67人の方からご回答いただきました。

 

まず、良かった曲のランキングです。

 

1位…山の印象         (36ポイント)

2位…交響曲「運命」第2楽章  (33ポイント)

3位…タイスの瞑想曲      (31ポイント)

 

以下、アヴェ・マリア(27ポイント)、荒城の月幻想曲(20ポイント)、エターナリー(18ポイント)、夢の桃太郎(15ポイント)、アストゥーリアス(14ポイント)、第一組曲(6ポイント)となりました。

なお、アンコール曲「見上げてごらん夜の星を」にも8ポイント入りました。

 

曲へのコメントもたくさんいただきました。

「山の印象」へは、もっとも多く15名の方からコメントをいただきました。

「情景が浮かんでくるようだ」「山登りの楽しさを思い出しました」など、この曲の画く情景をそのままお客様にお伝えすることができて本当に良かったと思います。

 

「運命」にも11名の方から「音に厚みがあった」「音が良く響いていました」などコメントをいただきました。

「運命」は私たちが最も力を込めて取り組んだ曲でした。一生懸命取り組んだそのことがお客様の心に届いたものと、素直に受け止めたいと思います。

 

この他にもたくさんのコメントをいただきました。お褒めの言葉や、なかには、練習不足を指摘された厳しいコメントもありました。全てをご紹介するのは控えさせていただきますが、いただいたコメント一つ一つを噛みしめながら、また新たなステップを踏み題していく所存です。

 

アンサンブル青葉の今後に、どうぞご期待ください。そして変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

 

 

 

第216回 無人島へ                           平成26年12月13日

 

あなたは今、お白洲のむしろに座り、お裁きを待っています。

お奉行様がお出ましのようです。

 

咎人(あなた)に無人島への島流しを申しつける。」

厳しい申し渡し。しかしお奉行様は続けます。

 

「お上の格別の慈悲により、本一冊かCD一枚を持っていくことを許す。CDには8曲まで咎人(あなた)の好きな曲を選んでよい。」

無人島といっても、音楽は聴けるようです。本とCD、どちらを選びますか?

 

…というのはもちろんジョークですが、無人島にほんとうに本一冊持っていくなら、何にしますか?

作家の開高健は、ずばり「旧約聖書」と言っていました。

 

音楽だったら何にしましょうか。

実は、こちらはイギリスで人気のラジオ番組「無人島用レコード(Desert Island Discs)」のテーマです。

「残りの人生を無人島で一人きりで過ごさねばならない。音楽を8曲持っていくことができる。あなたなら、何を持っていく?それはなぜ?」

 

ある知日家のイギリス人が選んだ日本の曲は、次の8曲。(カッコの中は筆者の注釈です)

 

1.「行きつけの沖縄料理店でかかっている」曲(タイトル不詳)

2.「春よ来い」(ユーミンの「春よ、来い」の間違いでしょう)

3.「赤とんぼ」

4.「プロジェクトXの主題歌」(「地上の星」。それとも「ヘッドライト・テールライト」?)

5.「上を向いて歩こう」

6.「君がいるだけで」

7.「六甲おろし」

8.「千と千尋の神隠し」の主題歌(「いつも何度でも」)

 

さて、ではマンドリンかギター1本に楽譜8曲まで持っていけるとしましょうか。

あなたなら、何の曲を持っていきますか?

 

 

 

 

第217回 調性の色                           平成26年12月20日

 

「調性には色がある」と言われます。

例えばC-durには白。指揮者の佐渡裕さんは、D-durに生命力や礼賛を感じる、と言います。するとD-durは天上から降ってくるような光の色でしょうか。

一方佐渡さんは、同じD音を主音とするd-mollには赤黒い色を思い浮かべるといいます。d-mollは、欧州では伝統的に死を意味する調性なのだとか。

 

この調性の曲に、Rattaの「英雄葬送曲」があります。

曲の出だしは全パートD音の強奏です。そしてこの曲はやはりD音の強奏で終結しますが、受ける印象はまったく違います。出だしのD音は重苦しく響くのに対し、最後のD音には明るさ・輝かしさが感じられます。

「英雄葬送曲」は英雄たちの悲劇を表すd-mollで始まり、後半のD-durへの転調で、英雄たちへの鎮魂と称賛が謳われているのです。

 

もちろん、普通に弾いても曲調の差は解ります。

ですが、d-mollは死を、D-durは鎮魂と礼賛を感じるという調性の持つ色を思い浮かべるとき、それを思いつつ演奏することで、何か演奏が違ってくる…曲はより生き生きとした表情を持つ…のではないでしょうか。

 

普段から♯がいくつ、♭がいくつというような言い方で済ましがちな調性を、何という調なのか、調性の色を意識し、それを生かすように演奏する。

来年の練習テーマが見えてきました。

 

 

 

第218回 この冬の読書                        平成26年12月27日

 

練習していて集中が途切れた、あるいはどうにも集中できない、なんてことはありませんか?

そんな時はどうしましょう。取りあえず楽器を置いて深呼吸。ちょっとお茶して気分転換…。プロアマ問わず、そんな経験は誰しもがあるものです。

その経験を余さず語っている本があります。

 

「ヴァイオリニスト20の哲学」

 

著者は千住真理子さん。デビュー40周年を迎える千住さんが、音楽・ヴァイオリン・演奏について正面から語った(帯の文句です)本です。そしてその通り、この本には千住さんの演奏への心構え、練習ノウハウが語られており、私たちマンドリニストにも大いに参考になるものです。

 

例えば、千住さんは音高・音大でない一般高校・大学に進学しています。音楽のみ集中することはできず、普通の授業もこなさなくてはなりません。しかも当時すでにプロとして活動していました。当然演奏レベルを落とす訳にはいきません。その時、千住さんはどんな工夫をしたのでしょうか?

これはひょっとすると私たちアマチュアにも通じる話です。私たちも日常の仕事・家庭の両立なかで練習時間を作っています。そのわずかな時間に、いかに質の高い練習を積み重ねることができるか。もしかしたら、千住さんの工夫が参考になるかもしれません。

 

そこで、最初の質問。

集中力が途切れたとき、千住さんはどうしているでしょうか?

ガムを噛む、チョコレートを食べる、バナナを食べる、仮眠をとる…などあげています。

「あっこれ、私もやっている!」と思われた方、ぜひ、本編をご覧になってみてください。

 

千住真理子著 「ヴァイオリニスト20の哲学」 潟с}ハミュージックメディア刊 ISBN978-4-636-90446-8

 

 

 

 

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